2016 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中患者の家族介護者に対する在宅支援介入プログラムに関する研究
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26463362
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
林 みよ子 天理医療大学, 医療学部, 教授 (50362380)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳卒中患者 / 家族介護者 / 在宅移行支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去2年間で、介入プログラムの素案が作成できたため、現行の介入との比較調査を実施する予定であった。 しかし、介入プログラム作成の最終段階の検討の中で、ICUやSCUなど発症後まもない患者を看護する部署では、看護師によっては、家族に対して在宅介護や介護者役割に向けた看護介入の必要性すら意識していない可能性もあるのではないかという懸念が上がった。新たに作成する在宅移行を支援する入院早期からのプログラムの効果を検証する予定であったが、プログラムそのものではなく、実施する看護師にその効果が大きく影響を受ける可能性も考えられたことから、脳卒中患者を収容する急性期から回復期までの病棟の看護師を対象として、脳卒中患者の家族に対する介護者役割あるいは在宅介護に関する看護師の認識を明らかにする研究に取りかかった。 現在、予定対象者数の半数程度のデータ収集を終え、次年度も引き続きデータ収集を行い、分析する予定である。これまでに得られたデータからは、在宅移行期病棟の看護師は、在宅介護に関する関心が高く、当然のこととして家族を支援しているが、急性期ケア病棟の看護師の在宅看護に関する家族支援は、これまでの看護経験に影響を受けると考えられる。つまり、急性期ケア病棟に配属されるまでに、脳卒中患者のケアの経験がある者や在宅療養を要する患者や家族の援助経験のある者は、早期から在宅介護を念頭においた情報収集や看護援助を行なっていた。この調査は、次年度に継続する予定である。 また、脳卒中患者の家族成員に関する先行研究を検討する中で、脳卒中という疾病の特徴から、家族の不確かさが発症時から1ヶ月半経過した後も継続するという報告があったことから、家族の抱える不確かさを軽減できることに焦点化した介入も必要であると考えられ、次年度に患者の発症後からの家族の不確かさの縦断的調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度からの遅れも影響しているが、今年度は、介入プログラムの効果の検証を視野に、その研究計画書を検討した中で、新たな問題点に気づき、それを解決するための調査に取りかかったことで、全体の進行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
より実践的で実現可能な汎用性の高い介入プログラムの作成とその効果検証を目指し、特に、臨床看護師の研究協力者を増員して、調査実施の推進力を高める。
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Causes of Carryover |
これまでの進捗の遅れにより、当初予定の介入効果の検証研究が実施できなかった。検討途上で問題となった課題についての当初予定になかった課題での調査も行なったが、今年度内に終了できなかった。さらに、情報収集のための参加及び研究成果を発表する予定であった国際学会も、調査が終了しなかったことに加え、本務の都合もあって参加できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に使用する費用とする主な項目は、調査費と学会参加費・交通費である。 まず、今年度開始した看護師対象の質的調査の継続と、今年度途中で問題となった脳卒中患者の家族の不確かさの縦断的追跡をMixed methodを用いて行う調査に支出する。 また、今年度までに、脳卒中患者の家族に対する早期からの在宅以降に関して、大学の看護研究者と病院の看護管理者および病棟看護師長と協働して検討する中で、本課題の直接的な研究目的とは異なるものの、看護研究者・看護管理者の双方にとっていくつかの有効な点が明らかとなった。そのため、最新の家族看護に関する知見や世界的な家族を対象とした研究方法についての情報収集も兼ね、これまでの本課題への取り組みとその成果をまとめた実践報告を国際学会で発表する予定であり、その費用を支出する。発表については、既に発表演題として採用が通知されており、平成29年6月に発表が決定している。
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