2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26463370
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉田 倫子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30463805)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 ひとみ 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80319996)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 乳児 / 睡眠 / 光 / 既日リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
慨日リズムの発達が阻害されている乳児では、その発達を促す光刺激の情報が十分与えられていない可能性がある。そこで、本研究は、①生後3か月の乳児50名を対象として、実際に育児環境における児が受ける光刺激の一日の変化を詳細にモニタリングするともに、光刺激の一日のパターンと児の睡眠覚醒リズム・睡眠構造の発達との関係について明らかにする、②児の概日リズムの発達に問題があると予測される児を対象として、光刺激を人為的に操作することで、児の概日リズムの形成を促進できるかどうかを検証することを目的に研究を行っている。 H26年度は、本研究の前段階として「Assessment of nocturnal sleep architecture by actigraphy and one-channel electroencephalography in early infancy(Early Human Developmentに投稿中)」をテーマに、乳児の睡眠時脳波データとアクチグラフを解析し、本研究の今後の方向性も視野に入れつつ、論文を作成した。その結果から、生後3-4か月時各2回の睡眠時脳波は、その日その日で変化に富んでいるため、各乳児の常日頃の睡眠を反映するデータには成り難いと考えられた。よって、脳波データは睡眠構造を判断する上では欠かせない情報であるが、長期間の測定が困難であり、乳児の自然な睡眠を損なう可能性があるため本調査から外し、アクチグラフによる測定をこれまでより長めに(4日間)行うこととした。また、この期間の児の唾液中メラトニン濃度を測定することで、児の既日リズムの発達を評価することとした。現在、修正後の研究計画を学内の倫理委員会に提出し、審査を待っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は前段階の研究結果を元に、研究計画を以下のように修正した。 研究1では、生後3か月(受胎週齢54~55週)の乳児50名を対象として、実際に育児環境における児が受ける光刺激の一日の変化を詳細にモニタリングするともに、光刺激の一日のパターンと児の睡眠覚醒リズム、唾液中メラトニン濃度の変化から概日リズムの形成との関係について明らかにする。研究2では、研究1の成績をもとに、児の睡眠覚醒リズムの確立が遅れていると予測される児20名程度を対象として、光刺激を改善することで、児の概日リズムの形成や睡眠覚醒リズムの確立を促進できるかどうかを検証する。調査時期については、乳児期早期の睡眠構造の発達は、出産からの週齢よりも最終月経からの週齢により依存するという過去の報告に基づき、受胎週齢に基づいて行い、研究1は児の受胎週齢54~55週(生後3か月)時に、研究2は、研究1の測定1か月後の受胎週齢58~59週(生後4か月)時とする。研究2の調査時期については、前述の研究から児の睡眠発達は生後3-4か月では差がないことから4か月時とした。また、この時期の設定理由として、光刺激を改善した後1か月程経過後の効果を測定したいとの理由もある。調査の内容は、研究1・2ともに、母親にアクチグラフによる測定、唾液採取、タイムテーブルとアンケートの記載を依頼する。 以上のように、H26年度は調査実施まで研究を進めることができなかったが、より意味のあるデータを収集するために、調査方法を吟味する重要な期間であったと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、倫理審査の結果が出次第、速やかにプレテスト(H27年6月)、本調査(7月)とすすめる。 研究1では、母親に4日間の児のアクチグラフの装着と照度計による光のモニタリング、児の唾液採取(アクチグラフ装着後2日目と3日目の朝(6-9時)・昼(11-13時)・夕方(16-18時)・夜(20-23時)の4回、計8回)、日記とアンケートの記載を依頼する。研究2では、研究1の成績をもとに、児の睡眠覚醒リズムの確立が遅れていると予測される児20名程度に対して、光環境の改善ポイントを指導し、約1か月の実践後に研究1同様の調査を行う。光環境は、研究1の照度測定値や日記とアンケートの記載内容を元に、育児環境として望ましい光環境となるように調整するが、基本的に母児の営む生活において改善可能な範囲とする。 研究1の調査開始後3か月時に、中間評価を行い、データ収集の方法に改善が必要であれば改善を加える。調査の終了は平成28年度の8月とする。その後はデータ解析と論文作成とし、平成29年の6月には論文を投稿する。
|
Causes of Carryover |
本研究の先行研究で、実際に脳波計を使い、調査・分析・論文作成までしたところ、生後3-4か月時各2回の睡眠時脳波は、その日その日で変化に富んでいるため、各乳児の常日頃の睡眠を反映するデータには成り難いと考えられた。また、脳波データは睡眠構造を判断する上では欠かせない情報であるが、長期間の測定が困難であり、乳児の自然な睡眠を損なう可能性がある。そのため脳波測定は本調査から外し、アクチグラフによる測定をこれまでより長めに(4日間)行うこととした。また、この期間の児の唾液中メラトニン濃度を測定することで、児の既日リズムの発達を評価することとした。 以上の理由から、当初予定していた脳波計のレンタル費と解析費には使用しないこととなり、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
1回の調査が当初の計画よりも長めになったことや、研究1と2を並行して行う必要性からアクチグラフと照度計の台数が当初の計画よりも必要となる。また、唾液採取キット費と検体分析費も必要となる。よって、当初脳波計のレンタル費と解析費に充てていた予算をこれらに使用する。論文の作成に必要となる、英文翻訳・校正、投稿料、印刷費については当初の予算のとおりに使用する。
|