2015 Fiscal Year Research-status Report
ダウン症を持つ子どものいる家族のレジリエンスを高めるライフサイクルに即した支援
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26463374
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高田谷 久美子 山梨大学, 総合研究部, 医学研究員 (20125983)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 父親・母親の思い / きょうだいの思い / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
対象は、いずれも日本ダウン症協会山梨県支部の会員の協力を得て依頼した。 1. 急激退行を示すダウン症を持つ青年期の親を対象としたインタビュー調査:平成26年度に父親及び母親を対象としてインタビューした結果から、ダウン症をもつ者では青年期・成人期において急激退行が問題となっていることから、その事を不安に思う父親・母親も少なくない。また、インタビュー対象者の中にも引きこもり、あるいは退行を示すk子どもを持つ親もいることから、急激退行を起こしている子どもを持つ親、及び調査時点では問題なく過ごせている親を対象としてグループインタビューを実施した。父親のみ,及び母親のみの2グループで実施したが、いずれも、家に引きこもってしまった子どもに何もできず、対処に苦慮しているのが実情であった。相談しようにも適切な場所あるいは人がおらず、家族で抱え込んでいた。母親は、自分の育て方が悪かったのではと、自分を責めている者もいた。 2. 10代から30代までのきょうだいを対象にグループインタビューを実施した。ダウン症を持つきょうだいの違いについては、親には時に説明されていなくとも、幼稚園の頃には小さいなどの特徴から気づいていくようである。特に3人きょうだいの真ん中で、上がダウン症をもつきょうだいだと、小学生くらいまでは何となく親に放っておかれる感じが強いようである。思春期に入る頃には、むしろ放っておいてほしい気持ちが強くなる。これは、ダウン症を持つきょうだいに対する親の態度を見ていても感じるようで、いつまでも小さい子どものように扱う親の態度を批判している。また、ダウン症を持つきょうだいとの年齢差、きょうだいの順位、親の考え方等それぞれの家族により異なることをきょうだい同士話し合うことで実感できていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
青年期・成人期のダウン症候群では、急激退行を示すことがあり、実際に経験している親は、適切な支援を受けられることもなく、そうした子どもを抱え込み苦慮している。このような親の状況を少ない対象ではあるが、父親、母親の立場から明らかにすることができた。 また、きょうだいに関しては、出生順位、家族に支援者がいるか否かなど、きょうだいの置かれた状況により本院が変える問題も異なっていること、発達段階によってもきょうだいの抱える問題は異なること、親とダウン症をもつきょうだいとの関係を客観的にみて適切な判断をしていること、など明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ダウン症児の親(父親・母親)及び兄弟を対象としたインタビューから個々の特徴を明らかにしたい。ことにきょうだいに関しては、一度試みたが、それを踏まえた上で、きょうだいの会の意義、きょうだいの会を実施していくに当たっての方向性、運営などについて検討していきたい。また、青年期以降の課題である自立、及び急激退行に焦点を当て検討を深めていく予定である。
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Causes of Carryover |
仕事や学校など、きょうだいの日程調整等が難しく、意見交換の会の実施が予定より少なかったこと、及び投稿論文の掲載が決まるまで時間を要したため、まだ経費の請求が来ていないために予定金額より支出が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文掲載はArchives of Psychiatric Nursingに決まったので、掲載費用に充当し、きょうだいの意見交換会の実施と今後の運営についての話し合いに充てる。
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