2015 Fiscal Year Research-status Report
親しい相手やインターネットを通じた相手からの性暴力予防と対応のICT活用教育開発
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26463381
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
永松 美雪 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30550769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 潔子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80549163)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ICT活用教育 / 男女間暴力 / 性暴力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インターネット利用や性行動が活発化する前の中学生を対象として、親しい相手やインターネットを通じた相手からの性暴力予防と対応のために、インストラクショナルデザインとその理論を基盤としたInformation & Communications technology (以下ICT) 活用教育を開発し、学習者が主体的に学ぶ参加型の学習プロセスを構築することを目的とした。 佐賀県のDV・性暴力被害相談事業に取り組んでいる佐賀県DV総合対策センター所長原健一氏の助言を受け、教育教材の開発を進めながら、中学生に対する教育評価としての学習前後の質問票を作成した。また、プレテストの結果を発表し、教育教材開発のための情報を得る目的で、ICM(国際助産師学会)と思春期学会に参加し、中学生向けICT活用教育教材の開発を進めた。さらに、性の健康カウンセラー養成講座応用編を受講し、性に関する相談者への対応に備えた。 佐賀大学外の対象者向けに、ICT活用教育教材を配信・受信するために配信サーバーおよび必要なソフト等を購入した。また、学習者の参加型の学習システムを効果的に行い、中学生の関心を高めるために、若い感性や意見を取り入れた教材開発に向けて、佐賀大学医学部看護学科の学生からの教材作成の協力を受けた。作成したスライドや撮影した動画を配信し、学習者が入力した問題・アンケートの履歴をシステム上で一元管理し評価に活用するなど、コンピュータを使った作業能力に長けた者として、研究連携者である佐賀大学総合情報基盤センターの副センター長高崎光浩准教授とその大学院生からICT活用教育の教材編集とサーバーへの蓄積等のホームページ作成の協力を受け進めた。 研究計画は、佐賀大学倫理委員会の申請を受け承認を得た。佐賀県内の中学校のうち研究の同意が得られた10中学校において、平成27年9月~2月に生徒への教育を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
佐賀県内の中学生へICT活用教育を実施していくにあたり、ICT活用教育の参加に同意した中学校は10校であった。そのうち、実際に、ICT活用教育を実施できた中学校は5校であった。実施できなかった理由として、インターネット上で動画を見ることが制限されていた学校が3校、ICT活用教育を実施するための時間が確保できなかった学校が2校であった。(後に、インターネット上で動画を見ることが制限されていた学校にはDVDを作成して配るなどの対応を行った。) ICT活用教育に参加した生徒(以降は介入群とする)と参加しなかった生徒(以降は対照群とする)の調査結果を比較した。両群共に、ICT活用教育前に、DVに関する講演の前後に自記式質問紙調査を実施した。介入群は、ICT活用教育による復習後に、中学生が入力した無記名の問題・アンケートの履歴を活用し評価した。対照群は、フォローアップ調査として、自記式質問紙調査を実施した。 その結果、女子は、対照群より介入群において、「身体的暴力」の危険を低下させ、「自己と他者との議論」と「自己と他者の攻撃回避」に効果を認めた。男子は、対照群より介入群で、「身体的暴力」の危険を低下させ、「他者指向的な反応(共感性・思いやり)」と「自己と他者の攻撃回避」に効果を認めた。 また、研究に参加した結果を両群の各中学校の校長へ報告を行った。調査において両群の生徒からの相談に対して、中学校の養護教諭・担任教諭と佐賀県DV総合対策センター所長原健一氏と連携して対応した。 さらに、ICT活用教育の評価や生徒からのICT活用のeラーニングの感想・意見を基に、佐賀大学総合情報基盤センターの副センター長高崎光浩准教授とその大学院生から修正したICT活用教育の教材編集とサーバーへの修正等の協力を受けICT活用教育の改善を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度、ICT活用のeラーニングを洗練させ、多くの中学校で導入しやすいように、佐賀大学総合情報基盤センターの副センター長高崎光浩准教授とその大学院生等からホームページの改善の協力を受ける。 そして、佐賀県DV総合対策センター所長原健一氏と連携して佐賀県の中学校で本研究におけるICT活用教育をさらに拡大させる。平成28年度は、ICT活用教育を他県の中学校へ拡大する計画であった。しかし、今回、佐賀県の中学校において、ICT活用教育による性暴力被害の予防教育という新たな試みを実施したが、ICT活用教育を取り入れていない学校では、教育導入に戸惑いを認めたため参加中学校は少なかった。 27年度の取り組みにより、ICTの教育環境整備や確保する教育時間など、スムーズに導入するために改善すべき課題があることがわかった。インターネット上で動画を見ることが制限されているためにICT活用教育に参加しできない中学校においては、DVDを作成して配るなどの対応を行う必要がある。また、講演後に、ICT活用教育による復習の時間を確保することが難しい学校があったことから、講演前に予習としてICT活用教育を導入するなど、佐賀県の中学校においてICT活用教育を導入しやすい柔軟な対応を行っていく。 さらに、平成27年度の取り組みの結果を国内外の学会に発表し、科学研究費事業報告書としてまとめ、論文を海外雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
学習者の参加型の学習システムを効果的に行うため、作成したスライドや撮影した動画を配信し、学習者が入力した問題・アンケートの履歴をシステム上で一元管理し評価に活用するなど、コンピュータを使った作業能力に長けた業者から支援を受ける計画であったが、佐賀大学医学部総合情報基盤センターの副センター長高崎光浩准教授と大学院生のご協力により、計画よりも支出が少なく取り組むことができた。 研究実施開始が遅れたために、教育前後の評価データを回収することが遅くなり、ICT活用教育を改善し、拡大させることが遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
佐賀大学総合情報基盤センターの副センター長高崎光浩准教授とその大学院生からホームページの改善の協力を受ける。そのための協力者への謝金として使用する。また、講演前に予習としてICT活用教育を導入するなど、佐賀県の中学校においてICT活用教育を導入しやすい柔軟な方法により実施していくために必要である。 さらに、平成27年度の取り組みの結果を国内外の学会に発表し、科学研究費事業報告書としてまとめ、論文を海外雑誌に投稿する予定である。そのために、英語の能力に長けた者に研究分担者として加わってもらい、旅費、報告書作成、英文論文執筆・投稿のための費用として使用する。
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Remarks |
製作者:永松美雪企画監修,原 健一,矢野潔子,高崎光浩,大田和樹,石橋亜弓,河児美里,長池千和,中島美咲,山口沙南,山崎郷花
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Research Products
(9 results)