2014 Fiscal Year Research-status Report
腰骨盤痛を持つ妊婦の個別性に合わせた介入方略の開発と検証
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26463389
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
槻木 直子 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 研究員 (50723649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腰骨盤痛 / 妊婦 / 介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.理論的枠組みの決定:妊婦の状況を理論的に説明するための文献検討を行った。その結果、Oremのセルフケア不足看護理論を用いて、妊婦が腰痛やそれに伴う日常生活の困難さに対してセルフケアを行おうとする際に生じる3つのセルフケア制限を特定し、セルフケア操作を可能にする10のパワーコンポーネントのうち特に4つのパワー不足が生じていることで必要なセルフケアができない状況にあることを明らかにした。そこから、妊婦の腰痛に関して生じているセルフケア制限を取り除き、不足しているパワーを強化して妊婦のセルフケア能力を高めるという介入の理論的枠組みが定まった。 2.介入方略の精練化:4つの介入方法の方向性((1)身体の筋骨格バランスを整えること、(2)腹直筋離開に注目した腰椎の安定性及び体幹支持力と骨盤の安定性を確保すること、(3)妊婦が認知している痛みについての理解と配慮、改善目標への妊婦の希望、対処方法への妊婦の嗜好、妊婦の生活状態といった心理社会的側面への視点も含めた個別的な介入を行うこと、(4)妊娠経過に伴って変化する心身の状態に合わせた対処方法をその都度修正していくこと)について文献検討を深め、それを介入の理論的枠組みと統合することで介入方略の精練化を行った。その結果、妊婦のセルフケア能力を高めるために、妊婦が腰痛に対処する方法を獲得することと、妊婦のやり得る力が高まることを目的とした介入方略とその具体的内容が決定した。 3.研究デザインの変更:よりエビデンスレベルの高い研究結果を目指すため、研究デザインを準実験研究から無作為化比較試験に変更した。 4.評価指標の決定:介入方略と研究デザインの決定および評価に関連した文献検討の結果、主要評価項目と副次的評価項目が決定した。 5.妊婦用パンフレットの作成:文献検討を基に妊婦用パンフレットを作成途中であり、平成27年4月には完成見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画としては介入方略の開発を挙げており、4つの介入方法の方向性を土台とした具体的な介入方法のまとめと精練化を行うこと、評価指標を決定すること、妊婦用パンフレットを作成することを実施予定としていた。これらの計画はほぼ達成されて、平成27年4月には研究計画書と妊婦用パンフレットが完成見込みであり、平成27年度は予定通り作成した介入方略の検証を行うための研究実施ができる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.スケジュール:作成した介入方略の検証をするために研究を実施する。4月には研究計画書および妊婦用パンフレットを完成させ、5月に所属機関における研究倫理審査委員会の審査を受け、5~6月には研究協力施設における研究倫理委員会の審査を受ける。7月にはデータ収集を開始し、平成28年2月にはデータ収集を終えて分析と論文作成に入る。
2.研究方法の概略:研究デザインは無作為化比較試験である。腰痛により日常生活に困難を感じている妊婦に対し、自分に合った腰痛へのセルフケアを行うことを支援する看護の介入方略を行った妊婦(介入群)は、通常ケアの妊婦(対照群)よりも疼痛強度が緩和し、日常生活への影響を軽減することができるかについて検討する。研究対象は妊娠28週~31週の単胎妊婦で、腰や骨盤部に痛みがあることで日常生活に困難を感じている妊婦のうち、外来通院中で日本語によるコミュニケーションが不自由なくできる者とする。主治医の許可があれば、外来管理可能な切迫早産や基礎疾患がある場合も対象とする。除外基準は、脊椎・関節・神経系の既往疾患を持つ者、および精神疾患の既往を持つ者である。条件を満たす研究対象者のうち、本研究に参加することに同意が得られたものを研究協力者とする。研究協力施設を1~2施設設定し、サンプルサイズは120名(介入群60名、対照群60名)である。介入群・対照群ともに2週間ごとの妊婦健診で3回の看護ケアを受ける。対照群には研究協力施設の医療者が通常のケアを行い、介入群には研究協力施設の医療者による通常ケアに加えて研究者が介入を行う。データ収集は2回で、事前評価は両群とも研究協力の同意が得られた時点に行い、事後評価は、対照群は3回目の通常ケアが、介入群は3回目の介入が終わった1~2日後に行う。対照群には事後評価後、本人の希望に応じて相談に応じ、必要なケアを行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究費の支出は、研究遂行のために必要なパソコンや統計ソフト、事務用品等の物品購入費、他大学の研究者によるスーパーバイズを受けるため、および学会・研修会参加等の旅費、研究計画書を作成するにあたって必要な図書購入・文献複写費、通信費であり、ほぼ予定通り執行した。次年度使用額は発生したが少額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は研究実施段階に入るため、研究依頼やデータ収集および最新の知見を入手するための学会・研修会参加等の旅費、研究協力者への謝金、パンフレット印刷・製本や通信のためのその他費用、事務用品補充などの物品購入費を予定している。
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