2016 Fiscal Year Research-status Report
軽度発達障害・被虐待による行動異常を早期発見・早期対応する手法の開発
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26463404
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
横山 浩之 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40271952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 淳子 山形大学, 医学部, 教授 (30250806)
富澤 弥生 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (60333910)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 虐待 / 行動異常 / ペアレントトレーニング技法 / 支援者 |
Outline of Annual Research Achievements |
被虐待児に対する支援者(保育士、幼稚園教諭、小中学校教諭など)によるペアレントトレーニング(PT)技法をを用いて愛着形成の再習得させる試みは、被虐児の行動異常を改善することが立証された。 厚生労働省の児童虐待の定義に相当する保護者の行動が確認された児童を対象とした。PT技法を習得した教師・保育士が、虐待によると思われる行動異常に対してチームアプローチで対応した。 担任は学級経営に専念し、「ほめてしつける」PT技法を着実に用いて対象児の手本となる行動がとれる子どもを増やす。愛着形成の再獲得にむけた支援も、養護教諭などによりPT技法に従って行う。詳細は小六教育技術2016年10月号に掲載された。 行動異常が全て消失したのは10例中6例で、行動異常消失に2~4年を要した。行動異常が消失した6例のうち5例が小学校入学前に介入開始した事例であった。残る4例では学校内のたち歩きや他児童への他害は改善したが、長期休業中の万引きなどの非行、家庭内暴力などの行動異常が残存し、助言・指導を継続したり、ケース会議にて対応を協議している。一部の事例では、学校での行動の改善に伴って保護者の理解が得られ、医療機関に継続的に受診できている。 PT技法を用いた支援者によるattachment再獲得の試みは、部分的には成功したが、PT技法の習得に時間がかかったり、行動異常の消失に長期間がかかる難点もある。早期発見・早期介入が行動異常の消失につながることが示唆された。 また、昨年度の研究から、子育てを喜べない保護者の増加があるため、PT技法を取り入れた子育て支援パンフレットを作成することを企画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
児童虐待によると思われる子どもの行動異常に対して、保護者の負担を最小限にした支援者による支援方法が確立した。これにより、本研究の目的の大半は完結したと言える。本手法については、現在、英文論文を作成し報告を予定している。 以上については、児童虐待による行動異常に対する二次予防・三次予防における成果である。しかしながら、前年度の研究で示したように、子どもの出産に対して喜びを感じていない母親が有意に増えてきており、保健師などによる一次予防を充実させる必要があると言える。 この手法についてもPT技法の取り入れを考慮しており、早寝・早起き・あさごはんといった、基本的な生活習慣の遵守をどのようにして保護者に求めていくかが、大きな課題と言える。これまでは、保護者に対するプリント配布などの手法に頼ってきたが、子ども自身に働きかける手法についても、検討していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度は、一次予防の充実に向けた基礎的検討を行いたい。具体的には、PT手法を取り入れた、保護者向けパンフレットを作成したい。また、この目的のため、どのような形であれば、子育てを楽しめない保護者にとっても興味深いかを、有識者からヒアリングすることを考えている。 また、保護者向けのパンフレット作成に当たっては、これまで連載してきた「ガミガミしないで!やさしい子育て」(小学館、小学二年生連載記事)をもとに、小学館にて作成することを協力依頼している。 また、文部科学省ならびに厚生労働省は、乳幼児健康診査と就学時健診との間で、切れ目のない支援体制の在り方を検討するモデル事業を開始している。本研究は、このモデル事業の先取りともいえるため、これまでは、山形県A市およびB町で研究を進めてきたが、福島県内を含めて、協力市町村を増やして検討しく予定である。
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Causes of Carryover |
一次予防のために使用する保護者向けパンフレット作成が現時点で試作段階にあるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一次予防のために使用する保護者向けパンフレットを作成する。
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Research Products
(15 results)