2015 Fiscal Year Research-status Report
マタニティ・ヨガの妊娠・分娩改善効果に関する科学的検証
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26463409
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
金子 洋美 岐阜大学, 医学部, 助教 (00632803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松宮 良子 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 教授 (50242748)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マタニティ・ヨガ / 安産 / 身体的効果 / 開脚 / 呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分娩時の股関節を開く開脚運動に着目し、ヨガのストレッチによる開脚度を定量化し、身体的効果を明らかにしている。さらに、妊婦の呼気時間を測定し、ヨガ運動により呼気時間に現れる効果を明らかにしている。 1.計測ツールの周知と改良について。 H26年度に開発し実用新案(第3193887号)を取得した「開脚度測定器」の周知を目的に学会発表および論文化を行った。研究協力者である妊婦およびヨガ指導者の意見や学会発表・論文化をとおして、広く得られた意見を集約し、妊婦の股関節柔軟性の評価に適した、より簡便で安全な測定機器の改良を行っている(測定時の誤差が生じないように基本構造を確定している)。本器具はさらに、①安全性の一層の向上②軽量・可搬性の向上③女性好みのデザイン化④手頃なコストの実現、等に関する改善が必要と考えている。 2.記録簿(マタニティ・ヨガ手帳)の改良について。 H26年度に記録の簡便化と統一を図る目的で手帳を作成した。妊婦とヨガ指導者の意見を集約し、より効果がわかりやすく楽しみながら記録できる手帳に改良した。 3.開脚度の測定(データ収集)および運動効果の定量的解析について。 1)開脚度に現れる運動効果については、平成26年度の解析では、ヨガ運動後は被験妊婦の開脚度の向上が確認され、ヨガ運動 は、開脚度向上に即効性があることが示唆された。被験妊婦数を増加しデータ収集を行い解析したところH27 年度は、1.ヨガ運動は、開脚度を向上させるのに速効性がある、2.運動前の開脚度が小さい人のほうが運動後の開脚度が大きい、の2点について明らかにした。2)呼気時間に現れる運動効果については、ヨガ運動による被験妊婦の、呼気時間に現れる変化を解析している。ヨガ運動後には 呼気時間が延長することの示唆が得られている。ヨガ運動は、妊婦の呼気時間を延長させるのに速効性があることの示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)開脚度・呼吸の長さのデータ収集および定量的解析(続)について。協力施設数を増加したことにより、被験妊婦によるデータ収集数は目標数を見込める進度である。 2)運動効果出現時期の特定、ヨガの継続回数と効果との相関の把握について。ヨガの継続回数と効果との相関の把握をしている。妊娠期の不快症状や切迫早産など異常徴候の出現によりヨガ実施回数が左右されるのが現状である。本研究により、妊婦のヨガ開始時期や、継続回数が概ね特定できた。ヨガ教室における妊婦の現状を広く周知するとともに、妊婦が安全に快適にヨガ運動を継続できるためのヨガ指導者への教育の必要性が明らかになった。効果の出現の特定には、データ収集を引き続き行い解析をする。 3)ヨガと安産(分娩所要時間・会陰裂傷・APスコア・リラックス度スコア)との相関把握について。妊娠後期の異常の出現や分娩時の異常により、経腟分娩が不可能となり帝王切開分娩となったり、緊急搬送の事例も少なくない。また、里帰り分娩を希望する妊婦は妊娠後期に転院するため、データ数は十分ではない。引き続きデータ収集を行い、ヨガと安産について解析を行う。本研究により、里帰り分娩者を対象とした、継続してヨガ教室を受講できるような体制づくりが必要とされていることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の実施計画同様に開脚度・呼吸の長さのデータ収集および定量的解析を行う。 データ収集に伴い、被験妊婦が安全で安楽な測定ができるように、基本構造を厳守しつつ、より簡便で安全な測定機器の改良を行う。本器具はさらに、①安全性の一層の向上(角部の丸み、計器の埋め込み等)②軽量・可搬性の向上(材質変更、コンパクト化)③女性好みのデザイン化(形状、色彩、図柄)④手頃なコストの実現、等に関する改善が必要と考えている。 ヨガによる運動効果をヨガ指導者に周知することを目的に論文化しヨガ教室へ配布、指導者の達成感向上に寄与するよう進めていく。また、学会発表を行い、広く本研究結果を広めていくように進めていく。 さらに、運動効果出現時期の特定を行い、ヨガの継続回数と効果との相関の把握をする。また、ヨガと安産(分娩所要時間・会陰裂傷・APスコア・リラックス度スコア)との相関の把握を行う。
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