2014 Fiscal Year Research-status Report
子育て支援の輪をつなぐ小児医療と福祉のネットワークおよびプログラムの開発
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26463418
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
飯村 直子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80277889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 志穗 共立女子大学, 看護学部, 講師 (60409802)
吉野 純 杏林大学, 保健学部, 講師 (50269461)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子育て支援 / 病児保育 / 病後児保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
「地域において子育て支援の輪をつなぐ小児医療と福祉のネットワークおよびプログラムを開発する」ことを目的とした研究の初年度にあたり、分担研究者らとともに「子どもの健康の維持や回復に関する家族の予防および対処行動」「病児保育、病後児保育に関する現状と課題」について、文献検討を実施し、その現状と課題を検討した。その結果、親は子どもの症状や状態を親なりに判断して子どもの急病に対処していたが、中には過度な反応もあった。適切な判断には正しい知識と観察の技術が必要だが、周囲に人的サポートを持つ親ばかりではないことも明らかになった。また、就労する母親は、仕事との折り合いをつけながら子どもの急病への対応を行っていたが、同時に職場での立場や休暇の取りにくさも報告されていた。今後、経済的負担が少なく、より利便性の高い資源の導入や、専門的支援を得るシステムや対話型の相談システムの充実について検討を要すると考えられた。病児保育、病後児保育に関する文献からは、1)病児保育施設における保育士配置の充実、2)専門職としての人材育成、3)補助金の見直し、4)地域子育て支援ネットワークの必要性、等の問題が挙がっており、早急に対策が望まれていることがうかがえた。病児保育は、病気の子どもを親に代わって預かるという単なる就労支援ではなく、家庭や地域での育児機能の衰退が見られる現在では、子どもの病気に際し、対処や看病がわからず混乱している親に対する子育て支援の一環として、病児保育という場を活用した援助が求められていることが明らかになった。地域に暮らす子どもと家族を支えていくことが今後、病児保育に求められているといえる。これらの検討を踏まえ、次年度に実施するフィールドワークに向けた具体的な計画を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「子どもの健康の維持や回復に関する家族の予防および対処行動」「病児保育、病後児保育に関する現状と課題」について、文献検討を実施し、その現状と課題を検討した。また、次年度に実施する現状調査に向けた調査内容の検討および調査の準備についてもおおむね実施することができた。調査についての研究計画書、資料等を作成し、研究倫理委員会に提出するまでには至らなかった。「子どもが病気になった時の日本および諸外国の子育て文化に関する現状と課題」に関する文献検討は、実施したが課題を検討するところまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
文献検討の結果については、2015年7月に日本小児看護学会第25回学術集会(千葉市)において発表する予定である。文献検討を踏まえ、地域の子育て支援グループおよび病児保育、病後児保育施設における調査を実施する予定である。まず、所属の大学の研究倫理委員会に研究計画書を提出し、審査を受け、承認を得て実施する。研究代表者1名、分担研究者2名、連携研究者、研究協力者各1名、合計5名の研究者を2つのグループに分け、①子育て支援グループにおける支援者を対象に、②病児・病後児保育施設における看護職・保育職を対象に、インタビューを中心とした調査を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究テーマに関連した専門的知識を有する研究者や保育職に、連携研究者および研究協力者として加わってもらったので、外部からエキスパートを招く必要がなく、謝金の支出を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査を中心としたフィールドワークの実施に関連した諸経費、文献検討の結果発表のための学会参加費、旅費等に使用する。また、保育や家族看護に関連した学会にも参加し、病児保育、病後児保育、子育て支援に関連した情報を収集したり、意見交換をしたりするための旅費としても使用する予定である。
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