2014 Fiscal Year Research-status Report
人工股関節患者のライフスタイルの違いや豪雪寒冷地による影響と対策ツールの開発研究
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26463444
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
眞壁 幸子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40436184)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活様式 / 人工股関節術 / 高齢者 / Qaulity of life / 身体活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.人工股関節術後患者の地域差と和式トイレによる影響について 人工股関節術後患者392名を対象に、北海道と九州の2地域にて、Quality of Lifeや生活様式に地域差があるのか、また、公共の場での和式トイレのQuality of lifeへの影響を検証した。その結果として、Quality of lifeには地域差はみられなかった。自宅での生活様式(和式 vs. 洋式)では、北海道のほうが九州よりも洋式のスタイルであった。また、自宅で和式トイレを使用している者はほとんどいなかったが、和式トイレ使用困難度がQuality of lifeに強く関連していることが明らかになった。これは、日本では公共での和式トイレ普及率が低いことが影響していると考えられる。本結果により、人工股関節術後患者においては、退院指導やリハビリテーション時に、地域差を考慮して介入する必要がある。また、公共の場での洋式トイレの位置情報などの提供も患者のQuality of lifeを向上のために重要であると結論付けた。 2.高齢者の身体活動量尺度の開発 もともとオランダで開発された身体活動量を測定する質問紙を、日本において、高齢者を対象に信頼性と妥当性の検証を行った。この身体活動量尺度は、「仕事」、「家事」、「レジャー」に分けて、平均的な1週間の活動量を問うものである。回答時間は3-5分である。日本の高齢者の生活に合うように、「家事」では介護の項目を、「レジャー」ではゲートボールを追加した。日本語訳では、元の開発者と確認をしながら行った。高齢者106名を対象に検証したところ、信頼性と妥当性が証明された。本尺度により、高齢者の身体活動量が簡便に、かつ、活動の量だけでなく内容も評価できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調である理由としては、英語での論文を発表し、海外での国際学会での発表も行うことができた。タイランドとの共同研究も始まり、研究として深ってきている。当初は予定していなかった身体活動量の尺度も開発でき、今後の研究に活用できると考えている。 「おおむね」と表現した理由としては、平成26年度中に、人工股関節術後患者を対象として、豪雪寒冷地による影響と対策ツールについて調査する予定であったが、まだできていない。しかし、その分これまでのデータを十分に分析して、かつ、先行研究を吟味して計画を見直したことにより、十分結果の出る調査が行えると考えている。平成27年度には調査予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.寒冷地における人工股関節術後患者の冬期の痛みについて 寒冷地において、術後1年以上の患者を対象に、他の季節よりも冬期のほうが人工股関節周囲に痛みを感じるかどうかを明らかにして、「痛む群」と「痛まない群」とで何か違いがあるのかについて検証する。平成27年10月に学会発表予定である。 2.人工股関節術後患者の豪雪寒冷地による影響と対策ツールについて 人工股関節術後患者を対象に、豪雪寒冷地による影響(外出困難、股関節周囲の循環の状態、痛みやQOL)について検証する。また、対策ツールを検証する。平成27年度の冬期に調査予定である。 3.高齢者の身体活動量の季節による影響 日本とタイランドにおいて、加速度計を用いて1年間の各季節に、身体活動量、Quality of life、健康維持能力を調査する。タイランドのような気候の穏やかな地域と厳しい冬期を過ごさなければならない北日本とで、違いを明らかにして解決策を検討する予定である。平成28年3月には調査開始予定である。当初の計画にはない、タイランドとの共同研究が含まれてきているが、研究に必要な機器などを新たに購入するのではなく、秋田大学にすでにある機器を借用し研究費を抑えつつ研究内容を充実させていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は投稿論文に時間が費やされ、人工股関節術後患者の豪雪寒冷地による影響と対策ツールの調査が先延ばしになった。それにより、研究費の一部が次年度へ繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年の冬期に、人工股関節術後患者の豪雪寒冷地による影響と対策ツールの調査を行う。また、日本とタイランドでの高齢者を対象とした季節による身体活動量への影響も検証する。これらの調査において、機器の購入や、調査フィールドへの旅費などに使用する予定である。
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