2017 Fiscal Year Research-status Report
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26463458
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
千葉 真弓 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (20336621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 みどり 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60293479)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症 / 看護実践 / 質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、老人看護専門看護師を招いて実施した病院における認知症ケアチームの活動に関する研修会の中で、老人看護専門看護師は認知症ケアの質の向上と連携に向けた活動の具体的な内容を尋ねた。その中で、認知症高齢者への個別のアセスメントを十分に行う「認知症高齢者への個別の身体アセスメント」、せん妄予防のための苦痛緩和に向けたアセスメントと対応を十分に行う「せん妄発症予防のための苦痛緩和に向けたアセスメント」、チームの連携を組織的に行うには認知症高齢者への個別的な実践に対して共感できる仲間を増やし「認知症看護の連携と多職種協働」を図ることが重要などの示唆を得た。 また、認知症看護実践の質を評価する指標となる看護実践内容の枠組みを明らかにする目的で文献検討を実施した。認知症高齢者への看護実践の質を評価する指標を明確にする視点として、認知症による機能障害の影響をふまえた身体アセスメントと苦痛緩和・治療への支援の視点、認知症高齢者のこれまでの生活の継続性を支え、主体的な日常生活をサポートする視点、認知症高齢者のおかれている状況、家族介護力等の現状を踏まえた退院もしくは次の療養の場に向けた認知症高齢者の意思決定支援の視点、以上の3つの視点が重要と考えられた。 これら視点を概観し、認知症高齢者への看護実践の重要な視点としては「認知機能障害をふまえた身体アセスメント」「苦痛緩和と治療への支援」「これまでの生活の継続性を支える」「入院加療と退院へ向けた認知症高齢者の意思決定を支える」「認知症高齢者への看護の連携と多職種協働」があるとした。これらを看護実践の枠組みとし、今後は認知症看護認定看護師並びに老人看護専門看護師を対象に調査を実施し、具体的な看護実践内容を明らかにする方向性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知症看護実践の質の評価の尺度項目を抽出するための文献検討の過程において、鈴木(2016)らが開発した「急性期病院における認知障害高齢者に対するパーソンセンタードケアを目指した看護実践自己評価尺度等、先行する認知症看護に関連する評価尺度との差別化を図るためにさらなる文献検討を要した。 その結果、身体アセスメントの詳細、終末期ケア、生活の継続性、意思決定に関する項目について検討する必要性を確認した。 認知症高齢者への看護実践の質を評価する項目を抽出する目的で認知症看護専門看護師並びに老人看護専門看護師を対象とした面接調査を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
入院加療する認知症高齢者への看護へ焦点を当て、医療施設において質の高い看護実践の具体的な内容を取り出す。専門看護師による情報提供から得られた看護の質を担保するための実践内容への示唆としての「認知症高齢者の認知機能障害をふまえた個別の身体アセスメント」、「苦痛緩和と治療への支援」、「認知症看護への看護の連携と多職種協働」について具体的な実践内容を明らかにする。加えて、文献検討から明らかになった「入院加療と退院に向けた認知症高齢者の意思決定を支える看護」「これまでの生活の継続性を支える看護」についての具体的実践内容を明らかにする。 方法としては、病院に勤務する認知症看護認定看護師ならびに老人看護専門看護師、10名程度を対象に面接調査を実施する。面接内容はボイスレコーダーに許可を得て録音し、逐語録として起こしデータとする。得られたデータから、それぞれの具体的な看護実践内容を取り出す。得られた実践内容は具体性を残して分類整理を行う。 さらに、取り出し分類整理した実践内容について、老人看護専門看護師より内容の妥当性についての確認を得る。方法として、取り出した看護実践内容について老人看護専門看護師を対象に内容妥当性に関する質問紙調査を実施する。
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Causes of Carryover |
昨年度予定していた認知症看護認定看護師と老人看護専門看護師への面接調査の実施が遅れていることと、一般病院に勤務する老人看護専門看護師を対象とした郵送調査ができなかったことによる。 今年度は、認知症看護認定看護師と老人看護専門看護師を対象に認知症高齢者への具体的な看護実践内容を聞き取り調査する予定である。聞き取り調査は認知症看護認定看護師と老人看護専門看護師10名を対象にする。面接内容はボイスレコーダーに録音し逐語録に起こし、得られた語りの内容から実践内容を取り出し、認知症高齢者への看護実践の質を評価する指標の項目を作成する。作成した項目について、内容の妥当性を検証するために老人看護専門看護師と認知症看護認定看護師を対象に郵送調査を実施する予定である。
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