2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の難聴が配偶者の身体的・心理的健康及び活動・参加に及ぼす影響の探索
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26463459
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 紀代美 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (60269636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 公昭 立正大学, 心理学部, 教授 (10237703)
高橋 眞理子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (00336687)
蒲谷 嘉代子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50569259)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 難聴 / 配偶者 / ストレス / 社会活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,難聴のある高齢者と暮らす配偶者の精神的なストレスの認知の仕方について,平成27年度に引き続き配偶者からの聞き取り調査を実施した。対象は研究分担者である大学附属病院の耳鼻咽喉科医師からの紹介,シルバー人材センターでの対象者募集,地域における介護予防事業等の広報活動を通して28年度には新たに15名の研究協力を得ることができた。これにより,対象者は合計23名となった。その内,条件を満たした12名分(男性5名,女性7名 平均年齢78.3歳)の聞き取りデータを文字に起こし,文脈の意味を吟味しながら分類したところ以下のような結果が得られた。「テレビの音が大きくていらいらする」,「夜通しラジオを大音量で聞いているのでとてもうるさく眠れない」,「会話の声が大きすぎて隣の家まで聞こえるようだ」などの【自分を基準にした音量設定】,「何度も同じことを聞いてくる」や「聞こえるようにはっきり話して」など【自分の理解に基づいた会話の要求】など,聞こえに関わるストレスの認知について抽出された。さらに,それらの認知以外に,「会議で相手の声が聞こえているのか心配になる」や「「自分と娘や孫との会話の中に入ってこられないで,一人で料理だけ食べている」姿を想像したり実際に経験して感じている【聞こえづらさへの同情心】や「聞こえにくい状況はこの先自分も歳を取れば同じようになる」といった【老いの姿としての難聴の受容】を配偶者の姿をとおして感じている状況も抽出された。一方「大声で一方的に言いたいことをいうだけなので,萎縮する気持ちになる」や「聞こえにくいために,会話もほとんど無い」ことから,【距離をおいた関係】が伺えた。今後は,データをさらに詳細に分析し,わが国における難聴の高齢者をもつ配偶者のストレスを測定可能な項目からなる尺度を提案する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年度にも記載したことであるが,難聴のある高齢者と暮らす配偶者のストレスや社会参加の制限等を調査し,難聴という事象が当事者以外へ与える影響を探ることが本研究課題であった。研究開始後,先行研究であるScarinciらのオーストラリアの対象をもとに作成された尺度を翻訳し,和訳後の文言の妥当性を確認する目的で条件に合う対象者を探したところ,対象者の抽出及び選出に多くの時間を要したことが遅延の第一の理由である。さらに,得られた対象者に対して翻訳した尺度を用いたところ,該当しない項目が半数以上あることが判明した。この状況から,翻訳した尺度で調査を継続することは適切でないと判断し,わが国の難聴をもつ高齢者の配偶者の実情把握を最優先で行うこととした。この計画の修正が研究遅延の第二の理由である。その様な中で,平成28年度は27年度分に追加データを加え,それをもとにわが国の難聴高齢者と暮らす配偶者のストレスと感ることや難聴高齢者に感ている態度等を把握することができた。この内容をもとにScarinciの論文の質問項目を参考にして平成29年度はわが国独自の尺度を作成し量的調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,平成27年度及び28年度の聞き取り調査で明らかとなった難聴高齢者と暮らす配偶者のストレス等のわが国独自の尺度を完成させ,それをもとに、アンケート調査を実施する予定である。 ただし,難聴の高齢者と暮らす配偶者を探すことは困難を伴うことが予測されるため,引き続き,新たな対象者獲得のために関係機関等に積極的に働きかけていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度において,100名以上の対象者に対して郵送法にてアンケート調査を実施し,その結果を入力・分析したうえで結果を出す予定であった。しかし,平成27年度に計画していた尺度の翻訳によるアンケート項目の作成過程において,翻訳した尺度・項目がわが国の配偶者の関係を表していない可能性が判明し,翻訳した項目をそのまま用いることは適切では無いと判断した。そこで、平成27年度,28年度はわが国の難聴高齢者と暮らす配偶者の難聴高齢者とのコミュニケーションに対するストレス認識を把握するための調査を新たに計画・実施したために,当初の計画から大幅に計画が遅延することとなった。しかし、28年度中には,上記の問題をほぼクリアすることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,前年度までに難聴高齢者と暮らす配偶者のコミュニケーションに対するストレスを始めとした認識を把握するための項目を明らかにすることができたために,それらをもとに作成した尺度等によるアンケート調査票を作成して,尺度の信頼性,妥当性を確認できるための分析が可能な対象者数の確保を行いアンケート調査を実施する計画である。これらの実施には,アンケート用紙の印刷,封筒や切手等の郵送にかかる費用,さらにデータ入力等に予算を配分する予定である。
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