2014 Fiscal Year Research-status Report
認知障害をもつ高齢者に対する一般病院での身体拘束減少に向けた教育プログラムの開発
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26463469
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉山 智子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (90459032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 看護学 / 高齢者 / 身体拘束 / 認知障害 / 病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者は、入院治療を受ける上で認知症など明確な診断がなくても認知障害を伴った状態になることが多い。そのため、医療者は、必要な治療やケアを安全安楽に遂行することが困難な状況になることがある。このことから、一般病院では治療上、やむを得ず必要と判断され、身体拘束を実施することがある。そこで本研究は、認知障害をもつ高齢者に対し、安全や倫理的観点からの身体拘束減少を目指し、入院時や治療開始時のアセスメント、身体拘束に代わるケア、身体拘束中や解除に向けたケアなど包括的なケア指針を明示し、ケアプロトコールの開発を目的とした。平成26年度は、研究1-1として高齢者のリスクマネジメントと身体拘束に関する考えについて、看護管理者、看護師、一般の高齢者といったさまざまな立場から把握することを目的とした。対象は、高齢者が多く入院する一般病院2施設の看護管理者3名、看護師3名と一般高齢者2名の計8名とした。方法はインタビュー調査とした。内容は、専門職には入院高齢者のリスクマネジメントと身体拘束に関する考え、一般高齢者には身体拘束に関する考えについてとし、質的分析を行った。その結果、看護管理者や看護師からは、管理者の意識や考えの影響が大きいことや身体拘束を継続することによるデメリットを理解しているものの、チーム内の看護師や家族の意向によって、自分が思う解除に向けたケアが進まないことへのジレンマが語られた。しかし一方で、身体拘束実施中も拘束を外すための方策を常にチームで考え続け、試行錯誤している状況も語られた。また、拘束具の種類によっても対応や考えが異なることが明らかになった。今後は、転倒や治療に伴うリスクマネジメントの観点から、身体拘束の実態やケア内容、看護師の意識について、更に対象者を広げ、明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1-1インタビュー調査の対象者を看護学生としていたが、倫理的観点や調査時期の変更から難しい状況となり、対象を一般病院の看護師とした調査に変更することとなった。そのため、倫理審査承認までに時間を要し、予定よりやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1-2質問紙調査については、調査の準備が整ったため、質問紙の発送を開始、分析を行っていく。その結果を基に研究1-3の身体拘束が行われた認知障害をもつ高齢者へのケア内容の実態調査を行い、病院での身体拘束開始から解除に向けた取り組みについて、ケア内容を中心に協力施設に出向いてデータ収集を行うとともに、看護師へのインタビューを行う。これに加え、専門家や実践者からのヒアリングや話し合いも行い、多くのケアや取り組みについてデータ収集を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究1-1のインタビュー調査の対象者を看護学生としていたが、倫理的観点や調査時期の変更から難しい状況となり、対象を一般病院の看護師とした調査に変更することとなった。このことから、研究の進捗状況が遅れたため、研究1-2の質問紙調査で使用予定であった予算を執行できず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査開始が遅れた研究1-2の質問紙調査では、質問紙の印刷費や郵送費、データ入力の委託費、分析で使用する統計ソフト購入等での使用を計画している。研究1-3の実態調査では、協力施設への出張旅費、関連書籍や文具の購入、テープ起こしでの使用を計画している。また、協力施設での作業や分析で使用するPC機器の購入も予定している。このほか、学会での成果発表や情報収集、専門家や実践者からのヒアリングのために出張旅費での使用を計画している。
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