2014 Fiscal Year Research-status Report
在宅死を可能にするための在宅ケア基盤づくりの方略ーフィンランドと日本の比較検討
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26463494
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
スーディ 神崎和代 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (40452990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹生 礼子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (80433431)
御厩 美登里 札幌市立大学, 看護学部, 助手 (90707564)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 在宅死 / 国際比較 / フィンランド / 北海道 / 在宅ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、広域積雪地域、地域の点在という共通点を有しながらも、医療体制、文化的、宗教的背景などの異なるフィンランド国ラップランド州(中心都市は北極圏内)及び北海道住民を対象に、【在宅死】についての個別インタビューを対象者の居住地域において実施した。対象者は非医療職者成人とし、20歳(ラップランド州では18歳)~80歳代の各世代の男女から協力への同意を得られた合計45名を対象とした。結果:1.家族、特に幼い子供を残して死ぬことへの不安が、死に直面した時の最大の不安要因であり、両地域に共通していた。2.漠とした死への恐怖・不安が両地域で異なっていた(11.7% vs. 30.4%)。3.両地域で終末期を迎える場所についての意識に違いがあり、ラップランド州(以下、L州)では約82%が自宅としたのに対して、北海道は39.1%が一般的に人は自宅で迎えるべきだとする結果を得た。考察:在宅医療体制や文化的(あるいは宗教的、歴史的)な要因が背景にあると考えられる。L州ロバニエミ市では、病院―保護施設―在宅ケア―在宅病院の4者が連携をして在宅医療を進めるシステムを設けており、在宅療養者の【こぼれ】がないようにシームレスな継続ケアを可能にしているしていることが【終末期は在宅で】という認識の高さにつながっていると推測できた。フィンランド人の80%がルーテル派のキリスト教徒、北海道民で何らかの信仰をしている割合は33.6%であることも要因として推測できる。今後は両国で調査対象者数を増加して、論拠を高める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最終目的は【在宅死を阻害する要因を特定し、在宅死を阻害する要因を取り除くための啓発プログラムを開発するである。そのプログラムを用いて効果を明確にする】とした4年間の研究計画を構築し、2014年度は、北海道及びフィンランドにおける在宅死に対する一般市民の意識を明らかにすることを目的として、プレテスト後、基礎調査研究を行った。ラップランド大学の協力を得て、ラップランド州および北海道在住の20代~80代の各世代から45名(目標は40名)の男女を対象にしてインタビュー調査を実施し、分析を行った。インタビュー調査表は日本語・英語・フィンランド語で作成し、対象者在住地に赴いて調査した。2014年度の目標は100%達成した。【終末期を過ごす場としての在宅の認識と、【気軽に相談できる主治医の存在】の2点に有意な差が認められた。基礎調査結果を基に平成27年度用大規模調査に向けて調査表作成を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は申請書に記載した通りに、平成26年度の基礎調査を基に調査対象者を増やしてアンケート形式で約30項目の「在宅死を可能にする要因」を探索する。対象地は北海道およびフィンランドの北極圏ラップランド州とし、対象者も両国の都市部・遠隔地其々から選定(20代~80代)をする。ラップランド州での調査については研究代表者が赴き、ラップランド大学およびラップランド州の中心都市ロバニエミ市に直接調査協力を行う必要があると考えている(遠隔テレビ会議などでキーパーソンとは調整を進めているが日本からの調査表送付・回収は物理的・倫理的・経済的に困難である)。より正確な調査結果を得るために調査表の言語は日本語・英語・フィンランド語の参加国語で作成をし、ネィティブチェックを万全にして市準備中である。また、平静28年度に計画している遠隔シンポジウムの下準備のためにフィンランド側との調整を開始する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は大規模調査を計画しており、申請時に予定していた額を上回る経費が想定される。そのために平成26年度のコストを可能な限り抑えることで平成27年度に備えることとした。平成26年度は、①45名分のみであったのでデータ入力も研究者間で行い、②調査表作成にかかる物品費も研究者の手作業で印刷などを行う・プレテストには手持ちの低質リサイクル紙等を用いた、などコストコントロールを意図的に行ったため残額がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はフィンランドおよび北海道で大規模調査を計画しているので、調査表作成・データ入力者への謝金・フィンランドでの調査依頼・統括をするため、および平成28年度に予定しているフィンランド―北海道をつないだオンラインシンポジウムの打ち合わせをロバニエミ市およびラップランド大学協力者との打ち合わせを兼ねてのフィンランド訪問1名分旅費、等に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)