Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,在宅療養者の予期せぬ入院回避を揺るぎないものとする訪問看護実践指標の開発に向けた基礎調査研究である. 在宅における「予期せぬ入院」を定義づけるため,在宅医療専門家へのインタビュー調査を行った.その結果,DPC機能評価を基にした考えは医療機関側の見方であり,在宅医療・在宅ケアの見方は異なる,また,在宅医療の整備状況が予期せぬ入院の定義づけを困難にしていることが示唆された. そのため,本研究では,予期せぬ入院を「計画的な入院ではない」「急変」とし,それらを体験した療養者と家族を対象に,入院に至った際の予兆等や,その要因として考えうる内容について調査を行った.その結果,以下の6大カテゴリーが在宅の予期せぬ入院に関連しており,療養者や家族が予兆を捉えていても,療養者の我慢しがちな性格などが受診の妨げとなり,予期せぬ入院に至ったことが示唆された.【1.急性病態症状の出現】【2.自分の取るべき行動に対しての理解不足】【3.治療を受けていることによる自己の健康への過信】【4.日常生活の継続】【5.在宅サービスを利用していることでの安心感】【6.療養者の生活信条】. また,在宅医療の要となる在宅療養支援診療所が,どの程度,訪問看護事業所と連携をし,住み慣れた地域で安心して暮らせることに貢献しているかを調査した.調査場所は自宅死率が国内でも低い佐賀県とし,佐賀県の在宅療養支援診療所/病院の活動状況の経年変化から,死亡場所に影響を与える要因を検討した.その結果,2010年から5年間において,佐賀県の二次医療圏すべての地域において自宅死は増えていなかった.死亡場所に影響する在宅療養支援診療所/病院の活動は,訪問看護との連携が多いほど,自宅死(p<.001)での死亡が増えていた.このことから,訪問看護と在宅療養支援診療所/病院の連携,自宅死増加に影響し,訪問看護は予期せぬ入院の回避に貢献できる蓋然性が示唆された.
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