2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の強み(ストレングス)を活かした介護予防を推進する地域づくりの支援方法
Project/Area Number |
26463522
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
井出 成美 群馬大学, 保健学研究科, 准教授 (80241975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 由美 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80235415)
桐生 育恵 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (00448888)
松井 理恵 群馬大学, 保健学研究科, 助教 (60736263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ストレングス / 高齢者 / 介護予防 / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、「介護予防を推進する地域づくりに役立つ高齢者のストレングスに関わる概念整理を行う基礎的研究」に取り組んだ。 まず、高齢者のストレングスと介護予防に関する文献調査を行った。国内外のストレングス概念に関わる文献、高齢者ケアや介護予防へのストレングス視点の活用に関する文献を収集し、ストレングスの定義、概念整理、高齢者の中でもどのような対象にどのような場面でどのようにストレングス理論が使われているかを検討した。 次に、介護予防を推進する地域づくりにどのような高齢者のストレングスを活かせるかを検討するために、高齢者のストレングスの構成要素と構造を、地域特性や世帯構成の異なる群ごとに明らかにする研究に取り組んだ。対象とした群は、独居あるいは高齢者のみで生活する世帯の高齢者(山村地域と市街化地域)である。半構成的面接調査によって、65歳以上の介護認定非該当、あるいは自立した生活を営んでいる高齢者を対象に得られた音声データを逐語録に起こし、質的統合法(KJ法)を用いて、個別分析、全体統合分析を試みている途上である。 今後、同様の調査を子供世代と同居する高齢者等でも行い、ストレングスの構成要素の対象特性ごとの違いの有無の検討などをしていく予定である。 また、現在介護予防サポーターや民生委員、保健推進員など、地域住民の健康向上や介護予防・生活支援に関わる住民側協力者として活動をしている高齢者を対象として、このようなコミュニティエンパワメントや地域づくりに参与している高齢者のストレングスの構成要素やその構造を明らかにする調査も計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成26年度中に、「介護予防を推進する地域づくりに役立つ高齢者のストレングスに関わる概念整理を行う基礎的研究」を終える予定であった。この基礎的研究は、研究1「高齢者のストレングスと介護予防に関する文献調査」と研究2「高齢者のストレングスの構成要素と構造」の2つの研究で構成していた。この内、研究2は、地域特性や世帯構成の異なる群ごとに明らかにしようと試みた。山村地域、市街化地域、高齢者のみで暮らす世帯、子供世代等と暮らす世帯など、いくつかの群ごとにインタビューデータを質的統合法(KJ法)で分析しているが、この分析に時間を要しているのがやや遅れているとした理由である。この分析方法は発想法の一つで、対象となる現象の(本研究では高齢者のストレングス)構成要素とその構造が明らかになるとともに、物事の問題解決方法や活用方法についての発想を導き出すのに適した方法であるが、分析には訓練が必要である。研究者は、これまでも質的統合法のスキルを向上させるための訓練や研修を積み重ねては来ているが、スーパーバイズを受けながら信用性の高い分析となるよう努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成26年度に計画した研究の未完遂の部分の速やかな遂行を図るとともに、同時に本年度計画した「高齢者のストレングスを引き出す支援技術」の調査を、実施・完了できるよう計画的に進めていく。
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Causes of Carryover |
平成26年度に計画した研究の一部が未完遂であり、また一部の調査が未実施である。(詳細は現在までの達成度を参照)
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の推進方策にも書いたように、分析途上の研究の速やかな遂行を図るとともに、未実施の調査も速やかに実施する予定である。調査のための交通費、インタビュー調査のテープ起こし、調査補助の謝金等で計画的に使用する予定である。 また分析方法で採用している、質的統合法(KJ法)のスキルを上げ、分析の信用性を確保するためのスーパーバイスを得るための費用等に使用していく。
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