2015 Fiscal Year Research-status Report
保育所・幼稚園・学校・地域の組織的連携による子どもと家族の生活習慣病予防教育
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26463526
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
藤井 千惠 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (70314002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 組織的連携 / 生活習慣病 / 予防教育 / ヘルスプロモーション / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.小中学校の養護教諭および関係機関との連携会議:K市の小中学校の養護教諭研修会で、平成26年度に実施した幼稚園の子どもと家族の生活習慣質問紙調査の結果について説明した。そこで平成27年度は、K市北部地区の保育園・幼稚園、小中学校において親子の生活習慣質問紙調査を実施することを決め、教育委員会学校教育課、次世代育成部子ども課の承認の元で各学校長、園長の協力を得て調査を実施することになった。 2.保育園・幼稚園、小中学校の子どもと家族の生活習慣質問紙調査:平成27年10月に質問紙調査を実施し、K市北部地区の保育園・幼稚園の4歳児、小学校の第2学年、第5学年、中学校の第2学年の合計1,449人(回答率82.2%)の子どもと父親1,271人、母親1,423人から回答を得た。集計概要は、①テレビゲームのプレイ時間は、すべての学年で男子は女子に比べて時間が長い、②スマートフォンの利用時間は、中学生の女子は男子より時間が長い、③子どもの就寝直前の行動でメディアを利用する子どもは、高学年になるほど割合が高い、④子どもの朝食で主食と主菜と副菜がそろった3食組合せの割合は約4割等であった。親子の生活習慣等で相関がみられた項目は、①子どもと両親では、テレビ・DVD視聴時間、テレビゲームプレイ時間、体格、朝食の料理の組合せ、夜食の摂取、夕食後の外出等、さらに②子どもと母親では、就寝時刻、起床時刻、就寝時刻の規則性であった。 3.幼稚園、小中学校等における生活習慣病予防の講演会:幼稚園、小学校、中学校等において講演会を実施し、保護者、児童、生徒に対して健康的な睡眠・生活リズムの重要性と家族で生活習慣を見直すことの大切さ等を説明した。 4.他市教育委員会学校保健会研修会における生活習慣病予防の講演会:近隣他市の小中学校長、保健主事、養護教諭の研修会において、K市の取り組みや研究成果について説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
K市小中学校養護教諭の研修会および関係機関との連携会議を実施し、平成26年11月に研究代表者が実施したK市立幼稚園の3~5歳児計384人(参加率82.8%)とその父親359人、母親382人の生活習慣質問紙調査およびその結果について共通理解を図ることができた。 子どもの就寝時刻が遅い群は早く就寝する群に比べて、テレビ・DVDの視聴時間が長く、就寝時刻が不規則で睡眠時間が短く、起床時刻が遅く、朝食を毎日摂取する割合が低く、朝食のバランスがとれている割合が低かった。さらに、子どもの生活リズムに対する保護者の意識が低かった。また、親子の生活習慣等の関連を検討した結果、起床時刻、テレビ・DVD視聴時間、テレビゲームプレイ時間、朝食の摂取、朝食のバランス等は子どもと両親の間で有意な正の相関がみられた。 子どもの生活リズムを保護者が意識することは、幼児の規則正しい睡眠や栄養バランスのよい食事等の健康的な生活習慣の確保に必須である。子どもの生活習慣は家族の影響が大きく、幼児期から親子で生活習慣を整える必要性が示された。これらの調査結果を各園に報告すると共に幼児の保護者に対して調査報告書を作成して配付し、さらに調査報告会を開催して説明した。 研修会や連携会議を通じて実態調査の流れやその結果等について理解を図り、小中学校における実態についても調査をして、児童生徒および保護者に対する保健指導等に活かす必要性について共通認識することができた。そこで、平成27年度はK市の北部地区の2つの中学校区の小中学校、保育園・幼稚園の子どもと家族を対象にした質問紙調査を計画し、関係機関の協力を得て実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に実施した幼稚園児と保護者の生活習慣に関する調査の結果を論文にまとめて発表することができた。平成28年度は、平成27年度に実施した保育園・幼稚園、小中学校における子どもと家族に対する生活習慣質問紙調査のデータを詳細に分析し、子どもの発達段階による生活習慣の課題や保護者との関連等について検討する。 これらの解析結果を踏まえて、児童生徒および保護者に対する保健指導等への活かし方、保幼小中の連携のあり方や今後の地域における生活習慣病予防教育の推進方策等について、養護教諭、幼稚園教諭、保育士、保健師等の連携会議を開催して検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、調査のために購入した物品等が安価であったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の調査データの解析、研究論文のまとめ、研究成果発表等に使用する計画である。
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