2014 Fiscal Year Research-status Report
在宅で暮らす認知症高齢者の生活能力活性化に向けた園芸療法の開発に関する研究
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26463529
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺岡 佐和 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60325165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 春美 福岡大学, 医学部, 教授 (70335652)
小野 ミツ 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60315182)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 園芸活動 / 生活能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、福岡市内に所在する小規模多機能型居宅介護施設と、隣接の同法人が運営するデイサービスにおいて、施設利用中の認知症高齢者を対象とした園芸療法の実施に向け、園芸療法の評価方法を検討した。特に、対象者の日常生活にもたらす影響を効果的に評価する方法について、既存の研究やこれまでに研究者らが行ってきた先行研究の結果を用いて検討した。 その結果、対象者の日常生活の変化は、当初予定していた、6か月ごとに行う対象者やその家族、施設職員に対する半構成的面接の実施に加え、各対象者の日常生活状況の変化を1か月毎に客観的に捉えることを目的とした評価表を作成した。なお、評価表は、施設職員が業務の中で簡便に評価できることに配慮した。 また、園芸療法の各セッションは、先行研究と同様に「園芸療法運営記録用紙」を用い、個々の対象者の参加状況を記録として蓄積することとした。さらに、セッションの前後に唾液アミラーゼモニターを用いて、個々人の精神的ストレスの状況の変化を把握することとした。 プレテストとしての園芸療法の実施では、1回あたり10名以上の参加があった。個々人の運動機能や認知機能には差を認めたが、植物に自発的に触れて作業したり、他者への関心を示し、積極的に交流する様子を終始認めたことから、日常生活における意欲の活性化に効果をもたらす可能性があることが示唆された。 次年度は、先行研究から得られた認知症高齢者に効果的なプログラムにより園芸療法を実施し、今年度検討した評価方法を用いて対象者の日常生活の状況を評価することで、在宅での生活能力の維持、向上に効果的な園芸療法の方法について検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理審査委員会の承認や対象者の研究協力の同意も得ることができた。園芸療法の実施はプレテストの段階であったが、園芸療法の評価について検討を進め、施設職員の同意も得ることができたことから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
園芸療法への参加希望者が予定数を上回る可能性が考えられたが、研究者の業務の兼ね合いにより、月に2~3回以上の実施は困難である。そこで、施設責任者と対象者について協議するとともに、必要に応じて地域のボランティアに協力を要請するなどして、1回あたりの参加人数を、安全に実施できる範囲で数名増やすことも検討したいと考える。
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Causes of Carryover |
所属機関の公費と財団助成金も使用したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は財団助成が終了し、科研費による支出のみとなるため、計画通りに研究を遂行した場合、次年度請求分を上回る支出となり、今回生じた次年度使用額から補てんする状況になることが予想される。
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