2014 Fiscal Year Research-status Report
福島原発事故により妻子が自主避難した男性労働者への支援方法の開発
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26463539
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
黒田 眞理子 東京医科大学, 医学部, 教授 (60265725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 准教授 (20509525)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自主避難 / 福島原発事故 / 男性労働者 / 放射線 / 別居 / 同居 / 経済的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず先行研究の整理・分析を実施し、研究内容の内訳を検討した結果、1)放射線の影響(人体への影響、県民健康管理調査と疫学調査の必要性、リスクコミュニケーション)、2)強制避難・自主避難、3)こころのケア、4)母子ケアに関する文献に分類された。自主避難者は強制避難者と異なり十分に支援が受けられていなかった。自主避難者の抱える問題や必要な支援についてはほとんど言及されておらず、今後その現状を把握する基礎研究が必要と考えられる。 次に、福島原発事故により妻子のみが自主避難した経験を持つ男性労働者の会合等に参加し、数名の男性労働者へのヒヤリングにより、1)妻子の自主避難が現在も継続しているため別居、2)離婚等により別居、3)夫が福島県外の居住地に移って同居、4)妻子が福島県内に戻ってきて同居などのパターンがあることが明らかになった。 そして、福島原発事故により妻子のみが自主避難した経験を持つ男性労働者11名に面接調査を実施した。妻子が福島県内に戻って現在同居している人が7名、現在も妻子が県外に避難している人が4名であった。妻子が戻ってきた理由やきっかけは、除染等で住むところが整ってきたから、幼稚園に入るタイミングで、学年がかわるタイミングで、そろそろ周りの人が帰ってきているから、自主避難先に居づらかったからなどであり、現在も自主避難されている理由は、放射線の影響がないとは言い切れないこと、将来「あの時避難していたら」と後悔したくないなどであった。現在も妻子が自主避難している男性労働者は、補助金等の支援がなくなれば戻らざるを得ないと考える人もいたが、妻子はもう福島県に戻ってくることはないと考えている人の方が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、先行研究の整理・分析、福島原発事故により妻子のみが自主避難した経験を持つ男性労働者へのヒヤリング、福島原発事故により妻子のみが自主避難した経験を持つ男性労働者への面接調査を実施した。面接調査の詳細な分析はこれからであるが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、当初計画していた質問紙による量的研究を延期し、面接調査による質的研究を先に実施することにした。すなわち、先行研究の整理・分析、福島原発事故により妻子のみが自主避難した経験を持つ男性労働者へのヒヤリング、福島原発事故により妻子のみが自主避難した経験を持つ男性労働者への面接調査を実施した。 次年度は面接データの分析・まとめを実施し、質質問紙による量的研究を実施をする予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた質問紙調査にかかる費用、量的研究の分析にかかる費用が次年度に持ち越したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はノートパソコンなどの機器、質問紙調査の印刷費、郵送費などに使用する予定である。
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