2015 Fiscal Year Research-status Report
地域で活動する訪問看護ステーションが協働で取り組む災害対策の看護ケアモデルの開発
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26463545
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (10351149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 講師 (40351150)
小塩 泰代 中部大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60300224)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 災害時要配慮者 / 災害対策 / 災害ボランティア / 訪問看護 / 協働 / 地域づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
1.1)複数地域で災害ボランティア(以下V)活動に参加し,要配慮者への活動や当事者の参加が少ない現状がわかった。2)「防災V活動から観る災害時要援護者支援の現状と課題」の調査研究を行った。Vの開始動機は、退職後の地域交流,社会貢献,自身の介護・被災体験の影響等であった。活動内容は、被災地及び地域災害対策であった。経験豊富な災害Vであっても被災地で要配慮者の支援経験が少なく,要配慮者が避難所で暮らせないと推察した。地域災害対策では要配慮者への対策活動も行われていたが,災害Vが要配慮者と直接関わる機会は少なく、災害対策以外の活動の場で関わりがあった。課題としては,災害に対する意識を高め助け合いができるまちづくり、要配慮者となる人々の近隣地域が繋がり助け合いができる地域づくり、自助としての備え,と考えた。 2.湾の近く,市街地,丘陵地にある訪問看護ステーション(以下St)の看護師に調査研究を行った。いずれの研究協力者も、東日本大震災をきっかけに災害対策の意識が高まり、訪問看護Stとして利用者への具体的な取り組みや地域の課題が明らかになった。しかし,災害Vが関与した訪問看護Stと,関与したことがない訪問看護Stでは,地域住民やVとの協働の考え方が異なっていた。今後は地域で協働できる方法を検討する予定である。 3.研究会の実施と研究成果報告:災害時要配慮者への災害対策活動や災害時の支援活動について情報共有し,支援方法や課題を検討した。研究成果について学会報告(3報告),雑誌投稿(1報告)を行った。28年度にも1報告と学術誌への投稿を予定している。 4.保健所・職能団体・地域の訪問看護Stの災害時要配慮者の支援について代表者が講師を務め分担者が参加した研修会があった。この会が災害Vや訪問看護Stと災害時要配慮者が知り合う機会となり,新たな活動に繋がった。研究をふまえた活動の効果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由1)災害ボランティアに関する調査研究を追加した。:研究計画時は活動参加のみの予定だったが,活動に参加する中で,概要に記したように「災害ボランティアによる災害時要配慮者への活動と課題」を明らかにする研究の必要性を感じ,18人を対象に調査研究を行い,学会3報告,雑誌投稿1報告を行った(学術誌への投稿を予定している)ことに時間を要した。
理由2)「平成27年度関東豪雨災害」及び「平成28年度熊本地震」が発生し,研究代表者が2災害で要配慮者への支援活動を行い,活動内容を本研究に盛り込む必要性があると判断したことからである。
上記の結果,訪問看護ステーションの災害対策の調査研究を平成28年度の在宅看護系学会で報告する予定とした。この結果,この後の予定もやや遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)2つの調査研究から,災害ボランティアと訪問看護ステーションが協働で要配慮者を支援するあり方や課題について,考察を進める。 2)医療ニーズの高い利用者版の災害想定シミュレーションカードを作成し,ワークショップを開催する。 3)医療ニーズの高い訪問看護利用者宅を,訪問看護師と災害ボランティアと研究者で訪問し,減災に向けて協働で支援活動を行う。 4)研究全般を統合し,医療ニーズの高い災害時要配慮者への減災に繋がるケアプログラムを作成し,検証する。 5)平成27年度関東豪雨災害・平成28年度熊本地震における支援活動から得られた内容も上記に活かす。
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Causes of Carryover |
研究代表者佐々木と分担者に,翌年度に繰り越し金が生じた。 研究代表者・分担者とともに,平成26-27年度にかけて,災害ボランティアへの調査研究を加えたことで,訪問看護ステーションへの調査研究が27年度になり,27年度に予定した研究実施に用いる予定であった予算の一部を次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.平成28年度は,これまでの調査研究結果を活かして,災害想定シミュレーションゲームを用いたワークショップの開催や,医療ニーズの高い訪問看護利用者(災害時要配慮者となり得る方)宅を訪問看護師や災害ボランティアとともに訪問し,減災に関する助言等を行う予定であり,そこで用いる消耗品の購入や,謝礼に使用する予定である。 2.災害ボランティアや訪問看護ステーションにおける災害対策活動に参加,調査,課題の分析検討のための研究会開催などの旅費,成果発表のための学会参加費・旅費に使用予定である。
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