2014 Fiscal Year Research-status Report
リフレクションを活用した新任期保健師の専門能力向上のための教育プログラム開発
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26463576
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
上田 修代 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40637526)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 行政保健師 / 新任期保健師 / リフレクション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究調査の成果は以下の通りである。 新任期の行政保健師は、その能力を高める重要な時期であり、つまり、保健師自ら専門能力を高める必要があるということである。筆者は、既に経験1年目の保健師調査を行い、リフレクションの過程では看護実践で生じる事実の描写の整理に時間を要していたと結果を得ている。しかし、看護実践を自らの判断で行うことが多くなる2年目以降の新任期保健師のリフレクション能力は明らかになっていないため、本調査を実施した。【方法】研究デザインは質的帰納的研究である。研究参加者:行政保健師としての経験2~4年目の保健師3名である。データ収集方法:研究参加者に事前記入シートを渡し、記入方法を説明する。事前記入シートの内容は、地域看護実践の内容、実践の中で気にかかった現象、その時の感情、その感情が生じた理由である。事前記入シートの内容に沿って半構成的面接を1回1時間程度行った。調査期間:2014年8月~12月分析方法:逐語録からリフレクションの過程の語りの場面を特定した。そして、類似性と相違性でまとめた後、全事例を統合した.【倫理的配慮】当該所属機関の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】統合した結果,リフレクションによって導かれた内容は7項目であった.その7項目とは<虐待が疑われる家族の親子関係に葛藤を感じながら新たな健康課題を見出した><精神疾患を抱えて出産を迎える妊婦に対する関わりのもどかしさから見出した新たな支援の方向性>等であった【考察】リフレクション能力獲得内容の特徴は気にかかった現象と共に生じた感情のもととなった事象を自身で何度も探求した結果、気づきや新たな支援の方向性を見出していた。つまり、自身の実践方法の傾向や実践の考え方を理解し住民との新たな関係構築への思考によって自身を探求する能力であった。また,他者との関わりによってその能力は高まっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の調査結果として、2~4年目の新任期保健師のリフレクションの特徴が明らかになった。その特徴は、看護実践の中で、気にかかった現象と共に生じた感情のもととなった事象を自身で何度も探求した結果、気づきや新たな支援の方向性を見出していた。つまり、自身の実践方法の傾向や実践の考え方を理解し住民との新たな関係構築への思考によって自身を探求する能力であった。また、他者との関わりによってその能力は高まっていたというものであった。 この成果は、リフレクションを活用した新任期保健師の専門能力向上のための教育プログラム開発の研究基盤となるものである。この成果は学会で発表予定である。 しかしながら、リフレクションを促す指針について、中堅期保健師に対する指針は完成しているが、新任期保健師に適用したものとして推敲ができておらず、このことが今後の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、新任期保健師のリフレクションを促す指針を推敲するために、平成26年度に得た知見と文献検討、新規調査を実施していく予定である。また、その成果を学会発表や論文化につなげていく予定である。 具体的には、すでに完成している中堅期保健師のリフレクションを促す指針を、これまでの知見とあわせて、新任期保健師のリフレクションを促す指針を完成させる予定である。 また、新任期保健師のリフレクションを促す指針を完成させることと並行して、教育プログラム開発方法についても文献検討していく予定である。 更に、新任期保健師のリフレクションを促す指針を完成させたのち、新任期保健師への調査を行い、その成果を公表すると伴に、教育プログラム開発につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、調査を実施したが、当初の予定では研究協力者が遠方に居住していることを想定していた。しかし、実際の研究協力者は、近距離に居住しており、旅費の金額が少額でまかなえていたことが1つの原因である。 また、研究環境を整えるために使用する消耗品や物品費の出費を最小限にしたのが、2つ目の原因である。今後は、研究環境が整うような消耗品購入や物品購入を行っていきたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、調査の研究協力者の数を多く設定し、それに伴う、旅費や謝金の支出を予定している。また、研究環境を整えるために、プリンター、インクなどの購入を予定している。また、研究成果報告及び研究の情報収集のための学会参加を予定している。
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Research Products
(1 results)