2015 Fiscal Year Research-status Report
小腸フルクトース代謝に注目した新規代謝症候群治療法の開発
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26500005
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
飯塚 勝美 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40431712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 幸男 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (10323370)
武田 純 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40270855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フルクトース / ChREBP / Glut5 / フルクトキナーゼ / 小腸 |
Outline of Annual Research Achievements |
フルクトースはフルクトーストランスポーターであるGLUT5により小腸上部で吸収される。一部はフルクトキナーゼ(KHK-A及びKHK-C)を介して小腸で代謝され、一部は門脈中へそのまま吸収され肝臓で代謝される。本計画は小腸におけるフルクトース代謝調節機構をグルコース活性化転写因子(ChREBP)の役割に注目し明らかにすることを目的としている。 平成27年度は、野生型マウス(WT)とChREBPホモノックアウトマウス(ChREBP-/-)にフルクトースを負荷した際の血糖、血中トリグリセリド濃度、小腸(上部)でのフルクトース代謝関連遺伝子発現を経時的に測定した。フルクトース負荷によりWTでは20 mg/dL程度の血糖上昇が見られたが、ChREBP-/-では不変であった。血中トリグリセリド値についてもWTに比べ、ChREBP-/-では低値であった。さらにWTでは、Glut5やChREBPの標的遺伝子である解糖系の肝型ピルビン酸キナーゼ(Pklr)の発現が誘導され、遅れてKhk-A及びKhk-CのmRNA発現が誘導されたが、ChREBP-/-マウスでは、GlutT5, Pklr, Khk-A及びKhk-CのいずれもフルクトースによるmRNA発現誘導は見られなかった。すなわち、ChREBP-/-マウスでは、小腸でのフルクトースの取り込みと細胞内代謝が障害されていると考えられた。以上から、ChREBPは小腸フルクトキナーゼ代謝関連遺伝子の発現調節を介して小腸フルクトース代謝を調節していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フルクトース自体がChREBPを活性化し、フルクトース代謝酵素の発現を調節していることが平成27年度の検討で明らかとなった。ChREBP-/-マウスではフルクトース代謝酵素の発現誘導が全く生じないことから、フルクトースの小腸の取り込み自体がChREBP-/-マウスで著しく低下している可能性を示唆する。ChREBPの小腸フルクトース代謝調節への寄与を表す重要な結果が平成27年度の研究で得られたことから、本計画は順調に経過していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoでのChREBPによるフルクトース代謝遺伝子発現調節は本年度まで明らかにできた。 今後は、ChREBP-/-マウスにおける(フルクトース負荷時の)血中のフルクトースや乳酸濃度の変化からフルクトース取り込みへの影響を明らかにしたい。また、小腸を通り抜けた後フルクトースは主に肝臓で代謝されることから、肝臓でのフルクトース代謝関連遺伝子発現変化や肝臓内フルクトース含量、肝内乳酸含量、肝内トリグリセリド含量をWT及びChREBP-/-マウスを用いて明らかにする。さらに、平成27年度に使用したCACO2細胞の系を利用して、フルクトキナーゼやGlut5プロモーター内のChREBP結合領域の同定を並行して進める。
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