2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヘスペリジンによるコレステロール合成経路を介した骨代謝制御の解明
Project/Area Number |
26500018
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
千葉 大成 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (30337779)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / フラボノイド / ヘスペリジン / 骨密度 / 骨吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
柑橘系フラボノイドであるヘスペリジンはHMG-CoA還元酵素を阻害し、血漿および肝臓脂質の増加を抑制することが報告されている。一方、HMG-CoA還元酵素阻害薬剤であるスタチンが骨芽細胞におけるBMP-2産生を促進し、未分化細胞や前駆細胞に作用することで、骨芽細胞への分化を促進することが考えられている。さらに、骨吸収阻害剤であるビスホスホネートは、HMG-CoA還元酵素よりも下流のファルネシル合成酵素に作用し、破骨細胞の機能を抑制することにより骨吸収を抑制することが報告されている。前述した報告を考え合わせ、ヘスペリジンは、メバロン酸合成経路を介して、骨代謝を調節することを推測し、研究を行ってきた。また、脂肪細胞と骨芽細胞はいずれも間葉系幹細胞から分化することが知られ、間葉系幹細胞の分化を制御することができれば、肥満と骨粗鬆症を同時に予防できる可能性が考えられている。 平成27年度では、(1)ヘスペリジンのスタチン様作用で示されたHMG-CoA還元酵素阻害による骨代謝制御ではなく、ビスホスホネート薬剤の骨吸収抑制作用から、メバロン酸合成経路の下流部位に着目し、骨量減少抑制効果について検討した。また、(2)ヘスペリジンのアグリコンであるヘスペレチンによる脂肪細胞の分化を抑制することや骨芽細胞の分化を促進することが報告されていることから、分化決定前の間葉系幹細胞の分化に及ぼす影響に関して検討した。その結果、(1)ヘスペリジンは、メバロン酸合成経路の下流部位を制御している可能性が示唆されたが、まだ不明な点があり、さらに詳細な作用機序の検討が必要である。(2)ヘスペレチンは脂肪細胞の分化関連遺伝子発現量を減少させ、骨芽細胞の分化関連遺伝子発現量を増加させたことから、間葉系幹細胞において、脂肪細胞への分化を抑制するとともに骨芽細胞への分化を促進することが示された。
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