2016 Fiscal Year Annual Research Report
Regenerative medicine with the low-molecular-weight secretory factors from fetal membrane-derived mesenchymal stem cells
Project/Area Number |
26501001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 俊介 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (10443475)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間葉系 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は骨髄などの多くの組織に存在し、新しい再生医療材料として注目されている。また、出産後に通常は廃棄される胎児の卵膜にも間葉系幹細胞が存在することが明らかとなり、研究代表者 はこれまでに卵膜由来間葉系幹細胞が炎症性腸疾患などの炎症性消化器疾患に対する新規細胞治療法として有用であることを、動物実験などで示してきた。本研究では、卵膜由来間葉系幹細胞が分泌する低分子生理活性物質に着目し、炎症性消化器疾患の治療に有用な生理活性物質を同定し、細胞治療に変わる新たな治療法を開発することを目的として実験を行った。 卵膜由来間葉系幹細胞から分泌される新規の低分子生理活性物質を3つ同定した。いずれもin vitroの系において炎症反応抑制効果を示した。具体的には、RAW264.7細胞に対するLPS刺激によるTNFa産生をこれらの低分子生理活性物質が抑制した。また、一部は好中球の活性化すなわちchemotaxisや貪食を抑制した。 in vivoの検討では、ブタ食道粘膜下層剥離術後の食道狭窄モデルを作成し、これらの低分子生理活性物質の一つを投与して効果を検討したが、食道狭窄の予防効果は認められなかった。一方で、高脂肪色による非アルコール性脂肪性肝炎モデルラットに対しては、kupffer細胞の浸潤や肝臓に置ける炎症性サイトカインの発現上昇を抑制した。 以上のことから、間葉系幹細胞が分泌する新規の低分子生理活性物質を同定し、これまで作用機序として不明な点が多い間葉系幹細胞の新たな機序の解明につながった。
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