2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞組織加工製品における「ウイルス安全性実現のための基本スキーム」に関する研究
Project/Area Number |
26501008
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
遊佐 敬介 国立医薬品食品衛生研究所, 再生・細胞医療製品部, 室長 (30200869)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 細胞組織加工製品 / ウイルス / 生物由来原料 / ウシ胎児血清 / 感染性因子 / qPCR法 / ガンマ線照射 / ウイルス安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞組織加工製品の製造工程では感染性因子,特にウイルスの混入の可能性を常に孕んでいる.原料となる細胞や,ウイルスに感染している可能性やフィーダー細胞や培地に含まれるウシ胎児血清など生物由来成分からのウイルスの持ち込み,細胞加工段階での外界からのウイルスの飛び込みなどによって汚染される可能性があり,製品にウイルスが混入するリスクは無視できない.本研究では,細胞組織加工製品の製造で使われる生物由来原料にどんなウイルスが検出できるのかを調べ,現行の対策が十分であるかを検証することを目的とした.ここではまず国内で一般的に使用されているウシ胎児血清についてウシウイルスが検出できるかどうかをRT-qPCR法を用いて検討した.その結果,国内に流通しているウシ胎児血清(原産地:米国,仏,豪,チリ,ドミニカ,アイルランド)のいずれのウシ胎児血清からもBVDV1が検出できた.またBVDV2は,ウシ胎児血清のうち88%で検出された.また調べたすべてのウシ胎児血清でウシポリオーマウイルスが検出できた.ウシ胎児血清のウイルス試験は,米国連邦規則(9CFR113.53準拠)によって行われており,ブルータングウイルス,ウシアデノウイルス,ウシパルボウイルス,ウシRSウイルス,狂犬病ウイルス,レオウイルスの有無については蛍光抗体法によって試験が行われ,感染性の有無は細胞変性試験により調べられ,否定されているが感度の高いqPCR法によって検出可能であった.本年度の研究結果から,国内で市販されているウシ胎児血清に関してもウイルス安全性の観点から,使用前のガンマ線照射等の不活化処理の重要性が改めて示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞組織加工製品の製造工程では感染性因子,特にウイルスの混入の可能性を常に孕んでいる.原料となる細胞や,ウイルスに感染している可能性やフィーダー細胞や培地に含まれるウシ胎児血清など生物由来成分からのウイルスの持ち込み,細胞加工段階での外界からのウイルスの飛び込みなどによって汚染される可能性があるが,国内で流通しているウシ胎児血清にどんなウイルスが検出されるのかについて明かにすることができた.今後は他の生物由来原料,他のウイルスの検出に関しても検討することで細胞組織加工製品のウイルス安全性を確保するための基礎データとなるから.
|
Strategy for Future Research Activity |
1)今回は,限られたウシウイルスに関して調べたが,今後は他のウイルス検出系を樹立して検討する. 2)生物由来原料としてまずウシ胎児血清を取り上げたが,他の生物由来原料に関しても検討する. 3)ここではqPCRによってウイルス検出を行ったが,本年度は次世代シークエンサー(NGS)を用いて広範囲に生物由来原料を調べる. 4)実用可能多ウイルス,多検体,迅速,簡便なハイスループットなウイルス検出システムを作製することで現行のウイルス試験法に代わる新規システムの構築を目指す.
|
Causes of Carryover |
ウイルス検出システムに必要なPC,ハードディスクを多めに見積もりすぎたためと,予定していた遺伝子解析ソフト購入費用が必要なくなったため,本年度支給額に残が出た.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度はNGSによる解析のために,大容量のハードディスクと解析用のソフトの購入を予定している.qPCRの試薬購入を含めて使用予定である.
|