2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞組織加工製品における「ウイルス安全性実現のための基本スキーム」に関する研究
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26501008
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
遊佐 敬介 国立医薬品食品衛生研究所, 再生・細胞医療製品部, 室長 (30200869)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞加工製品 / ウイルス安全性 / 生物由来原料 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞組織加工製品では、細胞・組織そのものが原料であり,同時に最終製品にも細胞・組織が含まれる。従ってバイオ医薬品等と比較すると、ウイルスの除去・不活化を製造工程に組み入れることは極めて難しい。過去のバイオリアクター汚染事例からすると想定される次の2つのケースが最も注意すべきケースであることがわかる。(i)ウイルス汚染は製造につかわれる生物由来原料を介して起きる。(ii)原料である細胞が汚染しているケースが起こりうるケースであると考えられる。そこで本年度は従来のウイルス試験法にかわってどんな試験法を組み合わせることでウイルス安全性が担保されるかを検討することにした。ここではiPS細胞等の細胞ストックを原料とするスキームとする。
原料となるヒト細胞ストック(例iPS細胞)(①)→製造工程(②)→最終製品(③)
細胞ストック①に関しては、次世代シークエンサーを使って細胞RNA-seqデータを取得し、網羅的なウイルス検出が可能であることがわかった。モデルウイルスを使った検出系でこれを確認することができた。次に製造工程(②)では、細胞培養で用いられる生物由来原料のウイルス検出も次世代シークエンサーを用いて比較的短時間に行なうことができることが明らかになった。これまでのウイルス試験法では、ウイルス培養や小動物をつかった感染実験等が奨励されており、検出できるウイルスに限界があった。ウイルス網羅的な検出は、この検出法の大きな利点である。同時に次世代シークエンサーを使ったウイルス検出の欠点として、検出結果がでるまで1週間程度かかる、最適化したウイルスデータベースが必要、擬陽性となるバックグラウンドをどのように扱うのかについて今後解決すべき課題も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次世代シークエンサー装置を保有していないため、受託機関にシークエンスを頼む必要があり、データがもどるまで2ヶ月程かかる。また支払いの関係で年度を跨げない。そのため解析を行なって(約2ヶ月)再び解析をするのに4ヶ月を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞加工製品のウイルス安全性のための新しい試験法である次世代シークエンス法の検出限界や他の方法との比較を行い、実用可能な試験法であるのかどうかを検討する基礎データの取得を行なう。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンサーをもっていないため、他機関、委託会社からデータがもどるのに2ヶ月を要するなどの遅れが生じデータ解析に時間がかかった。H28年度末から最終的なデータの解析を行なったため、論文発表が次年度H29年度にのびた。発表に要する予算確保のため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文発表に必要なPCR等に必要な試薬購入費用、及び論文投稿に必要な経費を賄う予定である。延長制度に深く感謝している。
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