2014 Fiscal Year Research-status Report
認知症ケアにおける情動コミュニケーション要因についての計測システム開発と調査研究
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26502007
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
花沢 明俊 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10280588)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表情認識 / 画像処理 / 認知症 / 認知リハビリ |
Outline of Annual Research Achievements |
コンピュータに接続した赤外線測距センサー(Microsoft Kinect)を用い、会話中、あるいは何らかの認知リハビリ療法を施療中に、被介護者の顔部分を撮影し、その場で表情の定量化・記録を行うシステムの構築を行った。 まず、認知症老人の表情を定量化するための、画像データ収集を行った。特別養護老人ホーム3施設において、56名の画像データ採取を行い、表情画像データベースを作成した。画像データは、動画として記録し、その中から、典型的な表情画像を切り出し、人間による判断で、表情の笑顔度を数値化した。これらの画像および笑顔度データは、笑顔度測定システムにおける機械学習および学習結果の検証に用いた。 測定システム開発については、Kinectセンサー(Microsoft)を用い、同時に取得したカラーイメージ画像および奥行きデータに基づき、顔の位置や角度の検出を行うとともに、ワイヤーフレームを顔に適合させ、目や口の位置を確定した。ワイヤーフレームに顔のテクスチャーを貼り付け、回転させることにより、正面から見た顔画像を生成した。このように切り出した顔部位を元に表情認識を行う部分の開発を行った。具体的には、顔画像にガボールフィルターを適用し、エッジ検出を行った後、そのヒストグラム情報から笑顔・非笑顔ベクトルを作成する。各ベクトル成分と人間が判断した笑顔度合いとの相関を、機械学習の一種であるロジスティック回帰によって近似した。笑顔度との相関の高いベクル成分を抽出し、笑顔度が未知の入力画像について、各ベクトルの値から、笑顔度を逆算した。そのように算出した笑顔度は、人間の判断とよく適合しており、安定した表情認識を行うことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、認知症老人の表情認識を安定的に行うことのできるシステム開発のため、認知症老人の表情画像の採取およびデータベース作成と、それらを基にした、表情認識システムの開発を目標としていた。表情画像の採取およびデータベース作成については、特別養護老人ホーム3施設の協力を得て、56名分の画像データを取得することができた。表情認識システムについては、顔画像の標準化、ベクトル化と、ロジスティック回帰を用いた機械学習により、基本的な認識アルゴリズムの構築は完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した笑顔認識システムを、介護スタッフが介護現場で使用し、継続的なデータ採取が可能となるよう、システムのインターフェースや、データの扱いについて検討、開発を行い、介護施設への試験的導入を行う。笑顔の頻度データを継続的に取得し、MMSE(Mini-Mental State Examination)やFAB(Frontal Assessment Battery)といった認知機能指標との相関を調べ、介護者・被介護者の笑顔と認知症の進行状況の関連について明らかにする。
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Research Products
(1 results)