2015 Fiscal Year Research-status Report
「ケイパビリティ」概念に基づく認知症高齢者ケアのアウトカム評価尺度の開発
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26502010
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
長澤 紀美子 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50320875)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症 / ケア / アウトカム / 評価 / ケイパビリティ / 質 / 高齢者介護 / グループホーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に続き、認知症高齢者の自立や自己決定に関する文献研究を行うとともに、イギリスのASCOTの中でも一部活用されている「パーソンセンタード・ケア」の理念に基づいたDementia Care Mapping(認知症ケアマッピング、以下DCM)の認知症介護研究・研修大府センターでの研修に参加し、観察に基づく認知症ケアの評価手法の意義と方法、また施設評価に活用する際の課題について考察した。 イギリスでは近年「パーソンセンタード・ケア」が介護において重視されるようになり(Szczepura, et al. 2008)、その理念に基づいたDCMのより簡便な方式のSOFI (Short Observation Framework for Inspection)がCQCの施設監査に利用されている。ASCOTの中でも同様に、「パーソンドセンタード・ケア」の理念に基づいて観察による認知症高齢者の行動と心理的状況の測定が組み込まれている。DCMは、観察によるケアの質の評価法であると共に、現場職員と評価者が議論しながらケアの質の継続的改善に向けた方策を探るツールであり、施設評価に用いる意義は大きいと言える。一方で、ASCOTに関しても指摘されているように、評価方法として実用化を進めるためには、それに係る労力や予算等の課題が残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査のための時間の確保が困難であったことから、先行研究レビュー結果を踏まえた質的調査研究を行うことができていない。そのため、その成果を踏まえた日本語版のマニュアルの作成やフィールドテストについても未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
「パーソンセンタード・ケア」の認知症ケアマッピングの手法を参考に、イギリスのSOFIに類似した、より簡便化した施設のケア評価指標として実用可能な項目や手法を整理し、それに対する導入のしやすさ、直感的なわかりやすさ等について介護施設の専門職に対する質的調査により検証する。さらにその内容に基づき、高齢者グループホームにおけるアウトカム指標のあり方を検討する。
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Causes of Carryover |
国内での質的調査並びにフィールドテストが未実施であるため、調査に関わる旅費・謝金・データ整理のための賃金等の謝金が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、高齢者介護施設での質的調査の実施により、及びイギリスへの訪問調査や学会への参加等により、国内及び海外の旅費及び調査結果の分析・成果公表に関する経費を支出予定である。
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