2017 Fiscal Year Annual Research Report
The development of the outcome index based on the notion of 'capability' for peple with dementia
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26502010
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
長澤 紀美子 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50320875)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ケア / アウトカム / 評価 / ケイパビリティ / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イギリスのアウトカム評価票ASCOTの施設版(CH3)について、わが国の高齢者施設への適用可能性について検討し、日本の介護現場で適用するための日本語版尺度を開発することを目的とした。その意義として「自立支援」、つまり利用者の潜在機能の最大限の活用や、主体性を引き出す尊厳のある生活のための支援や働きかけを意識したケア及びそれが利用者にもたらすアウトカムという視点を組み入れた評価尺度を開発することで、従来の評価尺度にないケアの質の側面を測ることができると考えられる。 本年度は、高齢者施設(特別養護老人ホームと老人保健施設)の職員(社会福祉士、介護福祉士)に対する個別及びフォーカス・グループ・インタビューにより、尺度の有用性や日本の高齢者ケア現場での適用の可能性について明らかにすることを目的に、結果を整理し分析を行った。なお、当初の計画にあった、認知症グループホームで調査を行うことは、調査に対応できる職員数や社会福祉士資格を持つ職員の数等の条件から、困難であったため、施設の種別を変更して実施した。2施設で5人の支援者が計10人の施設入所者に本評価票で評価した内容を踏まえて、以下の結果が明らかとなった。 評価票については、日本と欧米との文化的差異を考慮した文章表現及び基準の解釈にあたっての具体例を盛りこみ、より判断しやすい表現に改訂する必要がある。また施設側のケアの質が影響しているとは考えにくい基準、介護度が重い場合に本人の意思確認が困難な基準については、代替的もしくは代理指標の検討も行う必要がある。 一方で、ケイパビリティの観点からのアウトカム評価の重要性と、アウトカムを数値化して外部に公表し、選択に利用する意義については概ね肯定的な意見をえた。その上で、このような指標や観察手法を職員教育や多様な背景を持つ職種間の視点の共有に役立つということも明らかとなった。
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