2015 Fiscal Year Research-status Report
がん患者へのファーマシューティカルケアの質の向上を目指したCSTの開発
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26502015
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
半谷 眞七子 名城大学, 薬学部, 准教授 (40298568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 浩行 名城大学, 薬学部, 教授 (60345593)
藤崎 和彦 岐阜大学, 医学部, 教授 (60221545)
阿部 恵子 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (00444274)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬剤師 / コミュニケーション / がん患者 / RIAS / SPIKES / コミュニケーションスキルトレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究計画に従い以下の様に研究を進めた。 (1)保険薬局薬剤師とがん患者とのコミュニケーションの問題点の探求 ①愛知県下のがん患者の会に所属する患者で薬物療法を受けた16名を対象に、「薬剤師及び薬物療法」に関してインタビューを実施しグラウンデッドセオリー法で分析した。がん患者は、薬剤師の職能に関する認識は低く、また薬物療法や薬剤師に対して様々な不安や悩みを抱いており、がん患者の支援には、患者会や、新薬の開発等、治療を取り巻く環境の構築の必要性が示唆された。②愛知県下の保険薬局薬剤師17名に関して「薬剤師のがん患者へのファーマシューティカルケアの問題点」についてインタビューを実施しグラウンデッドセオリー法で分析し、5項目の概念「がん患者対応における薬剤流通に対する薬剤師の認識」「保険薬局で入手できる情報による患者の治療への影響」「今後の薬局薬剤師の医療への関わり方」「薬剤師自身が認識するがん患者・患者家族に対する薬剤師の役割」「薬剤師のがん患者への対応を困難にする要因」を抽出した。 (2)ビデオ「SPIKESモデルを用いた薬剤師のがん患者へのコミュニケーション症例1)抗がん剤に不安を持つ患者への服薬説明」を作成した。 (3)保険薬局薬剤師のがん患者に対応するためのSPIKESを活用したCommunication Skill Training(CST)の効果の検討 愛知県薬剤師会が主催したセミナーに参加した保険薬局薬剤師20名を対象に、がん患者とのコミュニケーションを支援するためにSPIKESを活用したCSTを行い、受講前後の薬剤師のコミュニケーション能力を分析した。CST受講により薬剤師の会話構造が変化し、情報提供だけではなく、情報収集、情緒的な発話を重視した服薬説明が実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)保険薬局薬剤師とがん患者とのコミュニケーションの問題点の探求 ①標記のがん患者の薬剤師への認識に関しては、内容を投稿し採択された(半谷眞七子,がん患者の薬剤師及び薬物療法に関するニーズを調査する質的研究,YAKUGAKU ASSHI,135,1387-1395(2015).)②愛知県下の保険薬局薬剤師の薬剤師のがん患者へのファーマシューティカルケアの問題点については、構成概念を抽出し、現在論文投稿準備中である。 (2)ビデオ「SPIKESモデルを用いた薬剤師のがん患者へのコミュニケーション症例1)抗がん剤に不安を持つ患者への服薬説明」を作成した。 (3)保険薬局薬剤師のがん患者に対応するためのSPIKESを活用したCommunication Skill Training(CST)の効果の検討 CSTを受講前後の薬剤師のコミュニケーション能力を会話分析の1つであるRIASで分析した。この内容に関しては、現在論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに、保険薬局薬剤師とがん患者とのコミュニケーションの問題点を抽出し、薬剤師のコミュニケーションスキルの不足が指摘された。その結果を踏まえて、ビデオ「SPIKESモデルを用いた薬剤師のがん患者へのコミュニケーション症例1)抗がん剤に不安を持つ患者への服薬説明」を作成し、そのビデオを活用した「薬剤師のためのがん患者とのコミュニケーションスキルトレーニングプログラム(CST)」を構築した。平成28年度は作成したビデオ、及びコミュニケーションスキルトレーニングに関する学会発表や論文投稿を行う。また「薬剤師のためのがん患者とのコミュニケーションスキルトレーニングプログラム」を一般化するために、第10回日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会(名古屋)のシンポジウム「治療パートナーを目指したコミュニケーションスキルトレーニングの実践例」の中で紹介する予定である。
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Causes of Carryover |
「薬剤師のためのがん患者とのコミュニケーションスキルトレーニングプログラム(CST)」は当初20名を2回開催予定であったが、教育ビデオが「SPIKESモデルを用いた薬剤師のがん患者へのコミュニケーション症例1)抗がん剤に不安を持つ患者への服薬説明」のみの完成であったため、1回の開催にとどまった。現在「LEARNモデルを用いた薬剤師のがん患者へのコミュニケーション症例2)医療用麻薬に抵抗を示す患者への服薬説明」を撮影中であるため、完成後「薬剤師のためのがん患者とのコミュニケーションスキルトレーニングプログラム(CST)」を実施し、その教育効果を検討する予定である。 また、平成27年度に解析終了予定であった研究の論文化が、予定より解析に時間がかかり、平成28年度に論文を投稿する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①「薬剤師のためのがん患者とのコミュニケーションスキルトレーニングプログラム(CST)」の開催のための薬剤師の謝金、②論文校閲料、及び論文投稿料、の2件に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)