2014 Fiscal Year Research-status Report
ナラティヴを用いたレジリエンス要因の解明および医療スタッフの患者対応指標の開発
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26502017
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Research Institution | Osaka Yukioka College of Health Science |
Principal Investigator |
高井 範子 大阪行岡医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60388668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行岡 秀和 大阪行岡医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80117986)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レジリエンス / ナラティヴ / 患者のQOL / 青年期から高齢期 / より良い医療環境 / 心理学的介入 / 対応指標 / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)患者および青年期から高齢期の人びとを対象としたレジリエンス(resilience)に関する研究、および(2)医療現場において患者のQOL(生活の質)を高め、より良い医療環境を実現するために患者の心身の状況に応じて対応できるような医療スタッフの一助となるものを開発することである。 2014年度は、(1)に関してはレジリエンスを主とした質問紙調査への準備としての資料収集を行い、質問紙構成を行った。また、本研究においては、narrative(語り)を用いてレジリエンス要因を多角的に解明することを目的としているため、レジリエンス経験者へのインタビュー調査の準備を開始している。質問紙による量的研究だけでなく、従来データ蓄積の少ない質的研究法をも用いて逆境から立ち直ることが可能な人びとの諸要因を多角的に明らかにすることは意義がある。 (2)に関しては、ICU(集中治療室)や一般病棟において、医療スタッフが患者の心理的状況がよく分からないために患者-医療スタッフ間のコミュニケーションに戸惑いを感じることがあることはどこの医療機関においてもみられることである。そこで先ず、現場の状況を把握するために双方からの聞き取り調査を開始している。2014年度は研究分担者である医師が担当した患者で、ICU(集中治療室)から一般病棟に移り容態が安定し、本研究への同意の得られた患者へのインタビュー調査を行い、さらに、当該患者を担当した医療スタッフに対してもインタビュー調査を行った。現在のところまで行ったインタビュー調査内容は随時まとめ、今後の継続調査へも活用できるように分析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)のレジリエンス研究に関しては資料収集が遅れ、当初予定していた2014年度中の質問紙調査に入れなかったが、質問紙構成はほぼ完成している。さらに、レジリエンス経験者へのインタビュー調査に関しては、準備を開始しているが、依頼の段階における調査協力者と当方との時間調整も難しく、いずれも、通常業務との兼ね合いもあり時間的に厳しい状況であったことが当初の予定よりもやや遅れていることの理由である。 (2)の医療現場における調査に関しては、患者に支障のないことが最優先である。ICUから一般病棟へ移り、容態が安定し、さらにインタビュー調査が可能であり、かつ調査協力に同意された患者を対象とするため、かなり対象者の制約がある。また、一般病棟に移られた後の体調変動もあるため、急遽インタビュー調査の予定変更を余儀なくされることも生じる。医療スタッフも多忙であるため、双方のタイミングを合わせることが難しい点も当初の予定よりもやや遅れ気味になった理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)のレジリエンスに関する質問紙調査に関しては、昨年度においてベースは固まったので、2015年度は質問紙の配布を行う。レジリエンスに関するインタビュー調査を本格的に開始する。 (2)に関しては、医師である研究分担者と緊密に連携を取りながら、患者に支障が出ないことを最優先して、引き続き患者、医療スタッフへのインタビュー調査を今年度も行っていく。 昨年度に実施したインタビュー調査の結果は順次まとめているが、引き続き新たな調査協力者へのインタビュー調査を実施していく。また、科研申請時には患者および成人期・高齢期の人びとを対象とする予定であったが、調査協力者との時間調整等が難しい点を踏まえ、2015年度は(1)(2)いずれのテーマに関しても、昨年度よりも調査対象範囲を広げていきたい。患者や医療スタッフの調査対象範囲および調査対象年齢段階も青年期から高齢期に広げ、研究期間をフルに使って、さらに多くの方への調査を引き続き地道に継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた理由は、2014年度に実施する予定であった質問紙調査が遅れているため、質問紙調査に関わる費用が支出されなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は質問紙調査を実施するため、その費用として、印刷費、郵送費、封筒代(質問紙回収に伴いプライバシー保護のために付ける封筒)、調査依頼諸経費等が必要となる。また、引き続き研究課題に関する国内外の最新の文献(書籍)収集に関する図書費なども必要である。さらに、2015年度はレジリエンス経験者等へのインタビュー調査を広範囲にわたって実施する予定であるため、それに伴う旅費やインタビュー調査協力者への人件費(謝金)、物品費等が必要であるため計上した。
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Research Products
(1 results)