2015 Fiscal Year Research-status Report
ナラティヴを用いたレジリエンス要因の解明および医療スタッフの患者対応指標の開発
Project/Area Number |
26502017
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Research Institution | Osaka Yukioka College of Health Science |
Principal Investigator |
高井 範子 大阪行岡医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60388668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行岡 秀和 大阪行岡医療大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80117986)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レジリエンス / ナラティブ / 患者のQOL / 青年期から高齢期 / より良い医療環境 / 心理学的介入 / 対応指標 / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)患者および青年期から高齢期の人びとを対象としたnarrativeを用いたレジリエンス(resilience)に関する研究、および、(2)医療現場において患者のQOL(生活の質)を高め、より良い医療環境を実現するために患者の状況に応じて対応できるような医療スタッフの一助となるものを開発することである。 (1)に関しては、レジリエンスに関する質問紙調査および、narrative(語り)を用いてレジリエンス要因を多角的に解明することを目的としている。2015年度においては、レジリエンス経験者へのインタビュー調査を中心に行った。質問紙による量的研究だけでなく、従来データ蓄積の少ない質的研究法をも用いて逆境から立ち直ることが可能な人びとの諸要因を多角的に明らかにすることは意義がある。 (2)に関しては、医療スタッフが患者の心理的状況がよく分からないために患者-医療スタッフ間のコミュニケーションに戸惑いを感じることがあることはどこの医療機関においてもみられることである。本研究においては、研究分担者である医師がICU(集中治療室)の担当医であるため、患者および医療スタッフへのインタビュー調査はICU関連に絞ることとした。2015年度も2014年度に引き続き、ICU(集中治療室)から一般病棟に移り容態が安定し、本研究への同意の得られた患者へのインタビュー調査を行い、さらに、当該患者を担当した医療スタッフに対してもインタビュー調査を行っている。インタビュー調査内容は随時まとめ、分析を行っているところである。また、患者サイドからの医療に関する多くの意見を得るため、2015年度は過去に入院経験を持つ人びとに対してもインタビュー調査および質問紙調査を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)に関しては、2015年度はnarrative(語り)によるレジリエンス研究を中心にした。2015年度は、医療に関連するレジリエンス経験を持つ方へのインタビュー調査を行った。インタビュー調査の場合、当方の通常業務との兼ね合いもあり、依頼の段階における調査協力者との時間調整も難しいものがあるが、インタビュー調査のペースとしては順調に進めることが出来ている。 (2)の医療現場におけるインタビュー調査に関しては、患者に支障のないことが最優先されることは言うまでもない。ICUという特殊な環境における「患者-医療スタッフ」間であることと、ICUから一般病棟へ移り、容態が安定し、さらにインタビュー調査が可能であり、かつ調査協力に同意された患者を対象とするため、かなり対象者の制約がある。また、高齢者が多いため認知的側面における制約もあり、該当者の選出に苦労するところではある。しかし、より良い医療環境を実現していくためには、患者の家族の視点も重要である。従って家族からの聞き取り調査も行っており、今後の医療のあり方を検討していくための貴重な意見も得ている。また、医療に関する多くのデータ収集を行うため、2015年度は当該病院に限らず、過去に入院経験を持つ人びとおよび家族に対するインタビュー調査および質問紙調査を行った。忌憚のない意見も得られ、これらも合わせて医療スタッフ教育にもつなげることができるように随時まとめを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)のレジリエンス研究に関しては、2015年度はnarrative(語り)を中心に行ったが、インタビュー調査は双方の日程調整が難しい。しかし、2016年度におけるインタビュー調査協力の承諾も既に得ており、研究期間をフルに活用して一人でも多くの方へのインタビュー調査を引き続き実施する。また、レジリエンスの質問紙調査も引き続き実施する予定である。2016年度は、インタビュー調査および質問紙調査結果をまとめ、narrative(語り)を含めたレジリエンス要因の総合的分析を行う。 (2)に関しては、諸事情によりICU関連のインタビュー調査に絞ることになった為、医療スタッフの患者対応の一助となるものを作成できるまでのインタビュー調査人数がどこまで増やせるかにかかってくるが、2016年度は研究分担者の医師だけでなく、ICUの医療スタッフにも研究協力者として加わってもらい、調査がよりスムーズに運ぶように協力を得た。2016年度もICUから一般病棟へ移られた患者および担当医療スタッフへのインタビュー調査を引き続き行っていく。また、より良い医療環境の実現に向けて、広く一般に過去に入院経験を持つ人びとへのインタビュー調査をも引き続き実施する。2016年度は調査結果をまとめ、患者対応の一助となるものの作成に向けて総括を行う。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた理由は、2015年度中に実施した調査費用に関わる支出の一部が2016 年度4月以降に回ったことによるものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は研究計画の最終年度であり、引き続きインタビュー調査および質問紙調査を行うため、調査に関わる諸費用(印刷費、郵送費、質問紙回収に伴いプライバシー保護のために付ける封筒、調査依頼諸経費等)が必要となる。また、レジリエンス経験者等へのインタビュー調査は広範囲にわたって実施する予定であるため、それに伴う旅費やインタビュー調査協力者への人件費(謝金)、物品費、さらに研究成果を、国内外の学会において順次発表していくための諸費用が必要であるため計上した。
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Research Products
(2 results)