2014 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本におけるマス・メディア受容と現代芸術の文化学
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26503003
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
松井 茂 東京藝術大学, 芸術情報センター, 助教 (80537077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 博之 独立行政法人国立美術館国立国際美術館, その他部局等, 研究員 (20231722)
伊村 靖子 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 情報資料室, 研究員 (60647931)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マス・メディア / 現代芸術 / 現代美術 / テレビ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、マス・メディアと現代芸術をめぐる研究課題の対象として、建築家、都市デザイナー、思想家の磯崎新をとりあげ、この成果に基づき、「建築外的思考」をテーマとした、「磯崎新12×5=60」展(ワタリウム美術館、2014年8月31日─2015年1月12日)を監修した。展覧会会期中には、本研究のさらなるリサーチの一環として、映像作家、編集者、作曲家などと共に、会期中10回にわたる討議を公開で重ねた。これらの資料は、今後の本研究に活用していく。 このほかに、同様な主題で研究課題の対象としてきた、テレビ/ディレクター今野勉の研究成果の一環として、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい」展(東京ステーションギャラリー、2014年9月13日─11月9日)を協力し、会期中には、シンポジウム「DISCOVER JAPAN 2014 流通するイメージとメディアの中の風景」を開催した。 このほか研究分担者である伊村靖子は、本研究の一環として、「コレクションを中心とした小企画: 美術と印刷物 1960-70年代を中心に」展(東京国立近代美術館、2014年6月7日─11月3日)共同企画に参加した。 また、研究代表者と研究分担者の中西博之は、「高松次郎 制作の軌跡」展(国立国際美術館、2015年4月7日─7月5日)の準備のために、TBSと共同で研究調査を実施し、1974年4月27日に放送された、高松次郎が自作解説をする番組を発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初今年度は、日本のマス・メディアと現代芸術をめぐる研究課題に関する情報共有をはかり、本研究の学術的背景を確認し、研究代表者と研究分担者の間で議論を深めることが目標とされている程度だったが、複数の展覧会やシンポジウム等が実現できたことにより、当初の予定よりも、公共性の高い成果の情報発信が初年度からはかられたと考えている。 特に、「磯崎新12×5=60」展では、マス・メディアと現代芸術をめぐって、原田大三郎(映像作家)、日埜直彦(建築家)、植田実(編集者)、田中純(東京大学)、細川俊夫(作曲家)、渡辺真理(法政大学/設計組織ADH)、神山亮子(府中市美術館)、中ザワヒデキ(美術家)、岡﨑乾二郎(アーティスト)等と討議し、議論を深めることもできた。 また、シンポジウム「DISCOVER JAPAN 2014 流通するイメージとメディアの中の風景」では、小原真史(IZU PHOTO MUSEUM研究員)、吉見俊哉(東京大学)、足立正生(映画監督)、今野勉(テレビ・ディレクター/テレビマンユニオン)、成相肇(東京ステーションギャラリー学芸員)と議論を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、今年度の成果を踏まえ、研究代表者と研究分担者の連携を深めつつ、マス・メディアと現代芸術の関係性を、文化学とメディア表現の統合的な分析によってを実施したいと考えている。 特に今年度、研究対象として取り上げることになった磯崎新、今野勉、高松次郎を中心に、芸術論とメディア論との接点を調査し、放送文化や出版文化と現代芸術の関係性を文献から検討していくことで、近年の動向であるメディア・アートに接続する文化現象と芸術形式の関係性を統合的に分析していきたいと考えている。また、近年、研究代表者が資料にアクセスしているメディア・アーティストの藤幡正樹を取り上げていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の研究実績からも明らかなように、研究発表が、展覧会のやそれに付属したシンポジウムとして実現したため、当初予定されていた研究者との情報共有のために、個別に計画していた予算を節約することができたことによる。加えて、研究代表者の異動が決まったため、それに関連して、今年度後半に予定していた研究会が開催でき成ったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異動に伴い実現できなかった研究会を実施する予定である。
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