2016 Fiscal Year Research-status Report
「1945年東京都市写真データベース」構築による都市の写真記録に関する基礎的研究
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26503014
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 洋一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10277832)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市写真 / 空襲 / 写真アーカイブズの活用 / 菊池俊吉 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き8~9月に米国立公文書館での調査、報道写真家・菊池俊吉による写真の調査を進めてきた。また、米国の鳥類学者Oliver.L.Austin撮影の写真を始めとして、米国に所在する終戦期における個人撮影写真の事例を収集し、基礎的な調査を行った。 ① 米国立公文書館での調査:引き続きデータベースを構築中である。以下の論考を発表した(「集め、読み取り、伝えること」雑誌『東京人』2016年9月号pp82-85)。雑誌『東京人』2016年9月号にて、研究代表者がこれまでに収集した写真のうち、都内で接収された建築や、皇居前広場の写真中心に多数紹介している。 ② 菊池俊吉家での調査:これまでの準備調査の結果に基づき、菊池家所蔵のネガフィルムを借用し、撮影内容や撮影行為の分析を進めた。関連で以下を発表した。(「報道写真家菊池俊吉 町を見るまなざしの復興」雑誌『東京人』2016年9月号pp14-25) ③ 終戦期における個人撮影写真の事例の調査:Oliver.L.Austin撮影の写真関連で撮影地が特定できたものを地図化して、公開している。座談会を行い、その意義を明らかにした(古本隆男、米野雅之、佐藤洋一「オリバー・L・オースチンが撮った総天然色の東京」雑誌『東京人』2016年9月号pp38-47)。同写真を所蔵しているフロリダ州立大学で写真のインデキシングを行った。他にも個人アルバムを調査し、終戦期における個人撮影写真の事例の検討材料を入手した。 ④ 私家版写真集の編集など:『東京零年』と銘打ち、「路上児童(路上にいる子どもたちの写真)」「終末と始原」「偽装建築」という3つの写真ブックレットを編纂。また収集した写真を選んでプリントし、アーツ千代田3331にて行われた展示会にて紹介する機会を得た(早稲田大学空間映像ゼミナール展示会『退屈な箱庭より愛をこめて』2017年2月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね順調に推移してきたが、本研究の最終的な成果となるデータベースの構築に関して、検討すべき内容が多く、またオーストラリアに所在する写真資料の調査が必要なため、研究の延長を申請した次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
公的な写真と私的な写真とは分け隔てなくデータベースに組み込んでいく予定であり、それが今後の作業の要点である。成果の活用につなげていくためには、以下のような点に留意すべきであり、そのための調査及び方策の策定も今年度の課題となる。 ① 公的な写真と私的な写真とでは、写真の背景が異なるため、特に私的写真に関しては、その写真群ごとに撮影者と撮影行為がもつコンテクストを十分に言語化する必要がある。 ② 「写真を読む」ことの意味合いと「読み方」をある程度想定した上で、検索機能などが設計され、適宜修正が可能な形になっていなければならない。 ③ 次の課題はデータベースを公開する手段を考えていくことになるが、「写真を読む」行為を促進し、そこでの意見交換がなされる必要がある。
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Causes of Carryover |
上述の通り、データベース化の実作業が完遂されていないため。またオーストラリアに所在する資料の調査も必要であり、その際の旅費の一部を支弁する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品:記録メディア等の購入費。海外旅費:オーストラリア戦争記念館への渡航費の一部。人件費・謝金:データベース化のアルバイト代金、菊池俊吉家へ支払う写真使用料。その他:最終報告書の印刷費の一部。
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Research Products
(4 results)