2015 Fiscal Year Research-status Report
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26503015
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
柴田 みゆき 大谷大学, 文学部, 教授 (50321063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 誉史加 大谷大学, 文学部, 准教授 (00440868)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 紋章 / 家紋 / 家系図 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、欧州の紋章に対する意識につき、引き続き基礎調査を行った。また、調査をもとに、将来のデータベース化に対応するための考察を行った。 まず、英国中世における紋章に対する意識が一般社会にどの程度受容されていたかにつき、引き続きシェイクスピアの作品をもとに研究した。その結果、対立するヨーク派とランカスター派を想起させる紋章の構成要素につき、一般民衆が特段の注釈無く理解した可能性を、共起語から提示した。この研究の成果は、大谷大学英文学会に論文投稿し、採録された。 次に、中世欧州の紋章のモチーフがどのように一般社会に受容されていたかにつき、キリスト教との関連を中心に研究した。このため、ヴァチカン教皇庁の図書館に関する資料を中心に、ルネッサンス期前後の絵画に表される表象の変遷を調査した。この過程で、日本の家紋に対する欧州の研究者のまなざしから紋章に対する意識を理解するための追加調査が有効との知見を得た。この結果、欧州の紋章との比較調査対象として家紋を取り上げる場合には、特にケイデンシーについての丁寧な再調査が必要であることが明らかとなった。また、日本における学問としての家紋研究が、大正時代を最後にほぼ停滞していることも明らかとなった。これらの調査の成果は、平成26年に行ったデータベース化の構想へのフィードバックも含め、情報処理学会第78回全国大会で発表し、予稿集に採録された。 さらに、紋章情報の収集活動として、欧州における表象の展開につき、中世のルネッサンス前後の代表的な作家の作品調査を引き続き行った。また、日本においては非常に珍しい、円形の系図表記の調査を行った。 なお、英国への調査旅行は行えなかったが、次年度への予備調査として、別の研究で欧州への出張にあわせ、英国とフランスで各1日ずつ紋章の現地調査を行うとともに、資料を購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、英国に調査旅行に赴く予定であったが、そのための日程を参加研究員間で調整することができなかった。さらに、平成26年度からの積み残し作業である欧州の紋章情報に関する書籍の現地購入することもできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に出向く予定であった英国調査旅行を、平成28年11月に行うことで既に調整済である。また、平成29年に予定しているポーランド調査旅行を、今迄の進捗の反省を踏まえ、前倒しできるよう調整中である。これらの調査の過程で、必要な書籍を調達し、遅れを取り戻すことを検討している。
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Causes of Carryover |
平成27年度に予定していた英国調査旅行が延期となったため。これに伴い、平成26年度からの積み残し案件としての現地書籍購入計画もあわせて延期となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年11月に、英国調査旅行を行う予定である。これにあわせ、平成26年度からの積み残し案件である現地書籍購入計画も実施する予定である。
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Research Products
(3 results)