2015 Fiscal Year Research-status Report
感情表現における非言語チャンネルの利用に関する比較文化論的研究
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26503016
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
曹 美庚 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30351985)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タッチ性向 / 文化差 / パーソナリティ / 外向性 / 開放性 / 性差 / 異文化コミュニケーション / 身体接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年の研究目標は,非言語チャネルの一つであるタッチング行動について分析を行うことである。以下の研究成果が得られた。 本研究は、日本と韓国の大学生を対象に、文化、性別、パーソナリティの3要因がタッチ性向に及ぼす影響を検証することを目的とする。日本の大学生202名と韓国の大学生212名を対象とした質問紙調査を行った。階層的重回帰分析の結果から、文化と性別のみならず、パーソナリティ特性のうちの外向性と開放性が父親、母親、同性親友、異性親友といった4つの対象者へのタッチ性向と正の有意な関連があることを明らかにした。また、身体接触の対象者によって、3要因の相対的な影響力が異なることに注目し、両親へのタッチ性向に対しては文化の影響がもっとも大きく、同性親友と異性親友へのタッチ性向に対しては外向性の影響がもっとも大きいことを示した。親友との対人関係の構築において、外向性の高い人ほど身体接触をより積極的に用いている可能性が高いといえる。 身体接触とパーソナリティの関連を取り上げた実証研究が少ない中で、両者を直接結び付けた日韓比較研究を行った点、パーソナリティ特性のうち、とりわけ外向性と開放性が全対象者へのタッチ性向と有意に関連していることを明らかにした点、タッチ性向に及ぼす文化、性別、パーソナリティの相対的な影響力が身体接触の対象者によって異なることを明らかにした点などは本研究の意義といえる。 異文化コミュニケーションの場面においては、コミュニケーション相手の文化や性別は勿論、相手のパーソナリティにも配慮した身体接触行動が求められるといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連学会に研究報告3つと論文執筆2つを行った。研究成果のさらなる開示を念頭において,現在,非言語チャネルとしてのタッチング行動とパーソナリティ特性に関する投稿論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中である「文化・性別・パーソナリティ特性とタッチ性向」に引き続き,「非言語チャネルと感情表現」に関わる論文執筆に取り掛かる。感情表現における非言語チャネルの利用としてタッチの利用について考察する。
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Causes of Carryover |
海外出張費が安上がりだったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
投稿論文の英文翻訳代として使用する計画である。
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