2016 Fiscal Year Research-status Report
消滅集落における土地所有実態からみた集落環境の維持管理に関する研究
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26504008
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
柴田 祐 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (90444562)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 消滅集落 / 土地所有 / 集落環境 / 維持管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
農山村地域においては、今後、無人化し消滅する集落が多数発生すると予想され、その跡地が管理されず荒廃が進むことにより、国土の保全などの農山村地域が有する公益的機能の維持や、地域の歴史や文化の継承が課題となっている。本研究は、九州脊梁山地(熊本県、大分県、宮崎県)に立地する集落を対象として、消滅集落及び消滅が危惧される集落における土地所有の実態と特徴を明らかにし、土地所有者以外の様々な主体による消滅集落における集落環境の維持管理の今後の可能性を明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、熊本県下の1960年以降に発生した24の消滅集落のうち、住民の離散により自然消滅した9集落を対象として現地調査を実施し、集落環境の維持管理の実態把握を行った。家屋については、維持管理されているものもあれば、取り壊されているものやそのまま放置され廃屋化しているものなど様々であった。また、草刈りや畑仕事が行われている様子が多くの集落でみられ、元の所有者が現在の居住地から通いながら集落環境を維持管理していることが把握された。一方で、消滅集落にいたる道路の管理はほとんどされていない場合が多かった。 また、熊本県八代市の五家荘地域の消滅が危惧される集落を対象として、現在の居住実態、住民の定住意向、集落環境の維持管理の実態、他出子のUターン意向や帰省の実態について、住民へのヒアリング調査により把握し、集落の消滅の可能性について検討した。 さらに、熊本地震の被災地の大半が農山村地域で、消滅が危惧されるような集落も存在していることから、急きょ研究計画を一部変更し、熊本地震による集落の被害状況の把握を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度当初に発生した熊本地震により、大学施設の復旧、授業の正常実施に向けた業務が発生した他、専門とする分野(農村計画)から被災者支援及び復興に向けた各種調査、計画づくりの支援業務が大量に発生したこと、さらに、熊本県下における消滅集落等の土地所有者へのアンケート調査を実施する予定であったが、アンケート調査実施予定者が被災している可能性も考えられたため実施を見合わせたため当初計画に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、遅れている土地建物の所有者の特定について、予定通り登記簿謄本を取得することで行う。また、市町村の協力が得られた場合には、固定資産税の納税義務者による所有者の特定をあわせて行う。 また、集落環境の維持管理の実態把握について、予定通り現地調査、アンケート調査を実施することにより行う。
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Causes of Carryover |
年度当初に発生した熊本地震により、大学施設の復旧、授業の正常実施に向けた業務が発生した他、専門とする分野(農村計画)から被災者支援及び復興に向けた各種調査、計画づくりの支援業務が大量に発生したこと、さらに、熊本県下における消滅集落等の土地所有者へのアンケート調査を実施する予定であったが、アンケート調査実施予定者が被災している可能性も考えられたため実施を見合わせたため当初計画に遅延が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れている土地建物の所有者の特定について、予定通り登記簿謄本を取得するための経費に支出する予定である。また、集落環境の維持管理の実態把握について、現地調査を実施するための旅費、アンケート調査を実施するための通信費に支出する予定である。
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