2014 Fiscal Year Research-status Report
周辺地域との関係性からみた災害公営住宅におけるコミュニティ形成過程
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26504009
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
福留 邦洋 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00360850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 学 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30410856)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 震災復興 / 災害復興公営住宅 / 住宅再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、入居者コミュニティと周辺地域との関係がどのように形成・変容するかという視点から災害公営住宅(復興公営住宅)におけるコミュニティ形成のあり方について検討することを目的としている。平成26年度は、仙台市青葉区霊屋下地区の災害公営住宅の地域協議へ定期的に参加し、入居開始までの受け入れ地域(住民)の考え、取り組みについて概要把握に努めた。受け入れ地域側では、被災者への配慮、支援というだけでなく、被災者との関係性構築への不安、災害公営住宅が建設されることによる土地利用変化への関心がうかがわれた。特に住宅に設置される集会施設は地域住民との共用が予定されており、地域住民側が能動的に取り組む一因となっている。災害公営住宅建設時に設ける集会施設等を当該住宅入居者と既存地域住民が共用する形式は仙台市独自の取り組みと考えられ、平成27年度には他の対象住宅についても着目したいと考えている。また、過去の震災復興における災害公営住宅の調査、論点整理として新潟県中越地震における事例を取りまとめた。新潟県中越地震における災害公営住宅の入居者は、当初は従前居住地(災害発生当時の居住地)との関係性を重視している割合が高かったものの、時間の経過とともに、災害公営住宅内コミュニティの形成や住宅周辺地域との関係性に関心が高まりつつある事例が確認できた。高齢化の進行にともなう移動手段の制約など物理的な側面と次第に新しい居住地の周辺と関係性を築こうとする動きは、東日本大震災の災害公営住宅を調査、分析する際にも考慮すべき要素と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
霊屋下地区等についてはこれまでの関係性などもあり、定期的に調査を実施することができた。ただし、仙台市全体をみた場合、仙台市の災害公営住宅着工、入居自体が当初の計画より遅れているため、平成26年度に調査対象を予定していた災害公営住宅の一部が完成していない。こうした災害公営住宅については平成27年度以降に調査を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に行った霊屋下などの調査を継続するとともに、集会所等共用施設の利用などに着目して仙台市内の災害復興公営住宅とその周辺地域(町内会等)の調査事例を増やしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初、調査対象として想定した災害公営住宅の完成、入居が遅れているため、具体的な調査に入れなかった事例が発生し、そのための必要経費等の執行が行われなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度に実施できなかった内容(対象災害公営住宅事例)について調査する際に執行することを見込んでいる。
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Research Products
(3 results)