2014 Fiscal Year Research-status Report
水晶体クリスタリンプロテオーム(クリスタローム)解析による新しい生物分類学の展開
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26505002
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田中 幸枝 福井大学, 医学部, 助教 (10197486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 豊 福井大学, 医学部, 教授 (80211522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ρクリスタリン / Pyラベル化試薬 / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ρクリスタリン解析の目標としていた5科のうち,今年度は,アカガエル科,アオガエル科,ヒキガエル科,アマガエル科の4科について水晶体ρクリスタリンのmRNAシーケンス解析を行った.サンプルはアカガエル科では21個体(産地別トノサマガエル13個体,ナゴヤダルマガエル3個体,トウキョウダルマガエル1個体,ツチガエル1個体,ニホンアカガエル1個体,ナガレタゴガエル1個体,タゴガエル1個体),アオガエル科では3個体(モリアオガエル1個体,カジカガエル1個体,シュレーゲルアオガエル1個体),ヒキガエル科では2個体(アズマヒキガエル1個体,ナガレヒキガエル1個体),アマガエル科では1個体(アマガエル1個体)の合計27個体について解析した.その結果,アカガエル科17個体,ヒキガエル科1個体で発現しているρクリスタリンのアミノ酸配列が完全に一致した(A群).またアカガエル科1個体とヒキガエル科1個体が一致し(B群),A群とは15アミノ酸の違いがあった.更にアカガエル科1個体とアオガエル科1個体が一致し(C群),A群とは20アミノ酸の違い,B群とは23アミノ酸の違いがあった. A群,B群,C群の蛋白の分子量と等電点は,それぞれ,36,880,7.60,36,962,7.61,37,133,7.61であった. この解析と並行して,今年度計画していたPyラベル化試薬を用いたプロテオーム解析法についても開始した.リゾチームを標準蛋白質としてPyラベル化ペプチドのMS測定を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的を達成するために,まず現有のアカガエル科,アオガエル科,ヒキガエル科,アマガエル科の4科について水晶体ρクリスタリンのmRNAシーケンス解析を行った. その結果,科を超えて,A群で水晶体ρクリスタリンのアミノ酸配列が18個体で完全に一致し,A群とは15アミノ酸の違いのB群が2個体,更にA群とは20アミノ酸の違いのC群が2個体あった.C群とB群とは23アミノ酸の違いがあった. このように現在分類されている科に拘わらず水晶体ρクリスタリンによる分類法が成り立つ可能性を見出した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在分類されている科に囚われない水晶体ρクリスタリンによる分類法を提案するには,更に解析の個体数を増やす必要があり,その種類としては,カエル5科の代表として,ヒキガエル科3種,アマガエル科2種,アカガエル科10種,アオガエル科4種,ジムグリガエル科1種の全ての解析を目指す.
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Causes of Carryover |
当該年度は当初の研究計画からやや遅れているため,次年度にその遅れた分の研究をする必要があり,そのための経費を繰り越すことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Pyラベル化試薬を用いたプロテオーム解析に必要なLC/MS/MS用試薬の購入が必要である.
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