2016 Fiscal Year Research-status Report
水晶体クリスタリンプロテオーム(クリスタローム)解析による新しい生物分類学の展開
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26505002
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田中 幸枝 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10197486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 豊 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (80211522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ρ-クリスタリン / アルド・ケト還元酵素 / Py-Tag / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,水晶体の構造タンパク質であるクリスタリンのプロテオーム解析を行い,多様な進化の過程を解明することである.クリスタリンは生物進化の過程で既存のタンパク質が無作為に転用されてきたものであり,その元になるタンパク質は種によって異なる.起源となるタンパク質がまだわかっていない種が数多くあるので,そのタンパク質の解明の一つとして,日本ウシガエル水晶体のρ-クリスタリンの起源となるタンパク質の候補を探すことに着手した. すでに,ρ-クリスタリンをコードする遺伝子配列のプライマーでRT-PCRすることにより得られたウシガエル組織由来の塩基配列を確認した.現在,その遺伝子をクローニングしタンパク質発現用ベクターを作製し,発現タンパク質の性質を調べることにより,ρ-クリスタリンの起源となるタンパク質を確認しようとしている. 一方,並行して行っているPyラベル化試薬を用いたプロテオーム解析法については,リジンだけでなく,アミノ基を有する低分子やリジンを有するペプチドに対するラベリングを行い,Pyラベル化試薬の評価を行っている.更に,ペプチド・タンパクへの応用に進展させるべく基礎データを収集している.その後,クリスタリン解析への応用にも発展させようと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウシガエル組織由来の塩基配列を確認することは出来たが,その遺伝子をクローニングしタンパク質発現用ベクターを作製することに困難があり予想外の時間がかかってしまった.そのため,当該年度は起源となった可能性のあるタンパク質の発現まで至らず,研究期間を延長し,現在も続行している.発現用ベクターが作製できればそのタンパク質の性質を調べることができ本研究の進展が期待される. また,最終的にプロテオーム解析のツールとして安定同位体ラベル化試薬のPy-Tagを用いてクリスタリンの解析も行いたいところであるが,プロテオーム解析の測定に欠かせない質量分析装置の不調による研究の遅延も生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,まず,遺伝子解析で見つけた水晶体由来ρ-クリスタリンとホモロジーのある,組織由来のタンパク質を発現精製し,その性質を調べることである.多くのクリスタリンの起源となるタンパク質は活性を持つ酵素蛋白であることが知られており,本研究の材料となる日本ウシガエルにおいても今回のターゲットタンパク質は,アルドース還元酵素とホモロジーの高いタンパク質である.従って,そのタンパク質の還元酵素活性などを調べることにより,ρ-クリスタリンの起源タンパク質としての可能性を探る方針である.
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Causes of Carryover |
遅れた研究を完遂させるため,研究期間を延長することとなったことにより,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発現ベクターからのタンパク質の発現,精製,酵素活性の測定等に経費がかかる.また,プロテオーム解析のための質量分析用消耗品の購入にも繰り越し分を補填するつもりである.
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