2015 Fiscal Year Research-status Report
FFPE臨床試料のプロテオーム解析プラットフォームの構築
Project/Area Number |
26505005
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若林 真樹 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70552024)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | プロテオミクス / リン酸化プロテオミクス / FFPE / 高感度分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、極微量試料をより高感度に解析するためサンプル処理法の開発を行った。まず、試料を直接導入して全ての前処理を完結させるための前処理用キャピラリーカラムの開発を試みた。キャピラリー内に逆相系粒子充填剤とトリプシン固定化ビーズを充填し、タンパク質抽出から消化まで全ての前処理過程をキャピラリー内で完結させることで、試料ロスを最大限防ぎ、これを直接LC-MSへと接続する手法を確立した。極微量の牛血清アルブミンを用いた評価より、MS におけるシグナルとして5 倍程度感度が向上することが確認でき、極微量のHeLa細胞試料を用いた実験においても同等の感度向上を確認した。ペプチド同定数においても2~3倍以上の向上を確認した。今後は、LC-MSシステムの高感度化を試みるとともに、本技術をFFPE試料へと適用することで病態試料の高感度解析を進める予定である。 また、HE(ヘマトキシリン・エオジン)染色によるタンパク質のロスについて、どのようなタンパク質群が大きく損失を受けているか検討をおこなったが、現在の解析深度では大きな偏りは見られず、おおよそすべてのタンパク質を総じてロスしている様子であった。今後、より高感度な実験系を構築したのち、再度同様の検討を行うことで詳細をより明らかにする予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FFPE試料のような極微量試料をより高感度に分析するためのサンプル前処理手法を開発した。本手法を用いることで、FFPEブロック、ガラススライド上のFFPEスライスのみでなく、マイクロダイセクションにより取得した試料のように、これまでには分析不可能であった試料のプロテオーム解析が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
HE染色に伴うタンパク質のロスに関してより詳細な情報を取得するために、より高感度なサンプル処理手法とLC-MS測定技術の開発を進める。 具体的には、本年度確立した前処理用キャピラリーを用いたサンプル処理手法に改善を加えることで、タンパク質抽出量と酵素消化効率を向上させる。また、内径の小さなメートル長モノリス型カラムをもちいた高分離かつ高感度な分析系を構築する。 これらを統合することで、極微量FFPEプロテオーム解析手法のプラットフォームを確立し、FFPE試料をより高深度に解析する。確立した手法によりHE染色が各種タンパク質に及ぼす影響を詳細に評価するとともに、実際の病態試料の解析をすすめる。
|
Causes of Carryover |
本年度も手法の確立に終始したため、FFPE試料の購入等を行わなかった。これに伴い、定量のための安定同位体試薬や、測定時に使用するLC-MS関連消耗品等の購入を行わなかったため、物品購入等による使用額が大幅に減少した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も同様に手法の確立は続けるが、実試料の解析に注力して進める予定であるため、FFPE試料や定量用安定同位体試薬等の高額品の購入が必須となる。
|
Research Products
(5 results)