2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a platform for proteome analysis of clinical FFPE samples
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26505005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若林 真樹 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70552024)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロテオーム / FFPE / HE染色 / 高感度LC/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、画像診断に最も汎用される染色法であるヘマトキシリン/エオジン(HE)染色を施したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織の効率的なプロテオーム解析手法の確立を目指し、HE染色がタンパク質抽出やLC/MS分析に与える影響をより詳細に解析した。ヘマトキシリン、エオジンそれぞれにより染色したFFPE組織からタンパク質抽出を行った結果、ヘマトキシリン染色により約20%程度、エオジン染色により40~60%程度のタンパク質をロスすることが明らかとなった。両染色手法により、どのような特徴を持つタンパク質群が消失しているのか明らかとするため、染色前と染色後の試料からタンパク質を抽出し、トリプシン消化をした後、LC/MSにより同定を行った。各試料から同定されたペプチド群に関して様々な物理化学的性質を指標に相対評価を行ったが、特徴的な変化を示すパラメータを抽出することができなかった。さらに、リン酸化体を濃縮後、同様の解析も行ったが、同様に特徴的パラメータを抽出することは困難であった。本結果より、HE染色時には、非特異的に大量のタンパク質が染色液中に溶出し、本来のタンパク質分布等が変化してしまうことが予想される。今後、染色液中に溶出したタンパク質群に関しても同様の解析を行うことで、HE染色によるタンパク質のロスが一様であるかどうか確認を進める予定である。さらに、その程度に関しても、再現性があるのかどうかを検証し、プロテオーム解析に耐えうる試料であるのかどうかを結論付けることが必須と考えられる。 本研究課題を通じて、FFPE組織からの効率的なタンパク質抽出法と、高感度LC/MS解析に資するタンパク質試料の前処理手法を開発することができた。HE染色組織に関しては上述の通り引き続き考察が必要であるが、FFPE組織の解析プラットフォームの大きな枠組みを提供することが可能となった。
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Research Products
(5 results)