2015 Fiscal Year Research-status Report
ESI-MS2スペクトルデータを用いた代謝物の化学構造推定
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26505013
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
蓬莱 尚幸 茨城工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (80633346)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 質量分析 / 部分構造推定 / 環構造 / プロダクトイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環状部分構造とESI-MS2スペクトルの関係性を明らかにし、環構造判定能力が高いピークを用いた環状構造部分構造推定法と推定ツールを開発する。 平成26年度は、構造式に含まれるすべての環構造を抽出するツールを作成し、公開スペクトルデータベースMassBankを用いて、スペクトル内のピークの環構造判定能力を算出し、部分構造の類似度とスペクトルの類似度の間に強い相関関係があることを確認した。 平成27年度は、未同定スペクトルを入力とし、含まれるピークの環構造判定能力を合算することで環構造予測スコアを計算する手法を考案した。さらに、MassBankのスペクトルを用いて、この環構造予測スコアの予測能力(精度、再現率、F値)を計算し、いくつかの環構造について有効性を検証した。これらの結果をもとに、未同定スペクトルを入力とし、特定の環構造について環構造予測スコアを計算し、その構造を持つと予測することの精度と再現率を出力する環構造予測ツールの設計に着手した。また、MassBankにスペクトルが登録されている化合物が持つすべての環構造について、環構造予測スコアの予測能力を計算し、計算結果をデータベース化することにも着手した。このデータベースは、設計に着手した環構造予測ツールを有効活用するために必要なデータを提供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、判定能力が高いピークの選択を行った後に交差検定により有効性を検証する予定だったが、平成27年度の計画時点では、ピークの選定が難しいため、有効性検証を行いながらピークを選択してゆく方法に変更し、部分構造推定を行う際にユーザがピークの取捨選択を行えるようにツールの設計方針も変更した。 ユーザがピークの取捨選択を行うことも難しいため、ピークごとの判定能力を「そのピークが構造推定作業を行うときに構造を持つと判定するための寄与度」と捉え、構造未同定化合物の入力スペクトルに現れるすべてのピークの判定能力の平均を求めることで、スペクトル全体の判定能力を計算する方法に変更した。この方法を用いることで、構造推定ツールも、スペクトルを入力するだけで(ユーザがピークの取捨選択せずに)環構造推定情報(たとえば、「環構造Xを持つ化合物の○○%を確率○○%で推定」という情報)を得ることができる。 研究の進捗に伴い実施した上記の方法およびツールの変更により、研究は当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
方法やツールの変更が生じているが、平成28年度中の完成を目指す。 ただし、当初の予定とは異なり、ユーザがスペクトルを入力するだけで環構造推定情報を得られるツールの完成を目指す。このツールは、当初予定のツールよりも利便性が高いと予想される。また、より多くの環構造について構造推定するために、判定能力データベースの構築も平行して行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度計画より安価に増強用コンピュータを取得できたため。また、方法やツールの変更により研究がやや遅れて学会発表件数が計画よりも少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データベース構築のためにシステムを増強する。また、研究成果の学会発表を行う。
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Research Products
(1 results)