2015 Fiscal Year Research-status Report
生命金属元素分析と分子イメージング技術の融合による生体メタロミクス計測技術の開発
Project/Area Number |
26505014
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本村 信治 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 副チームリーダー (20360654)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンプトンカメラ / 3次元定量撮像法 / 3次元断層画像 / ガンマ線イメージング / 生体メタロミクス計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内における種々の金属元素の挙動と、金属が関与する生体分子の状態を同時に体外から可視化分析する新規生体メタロミクス計測技術の確立を目指し、平成27年度は、半導体コンプトンカメラGREIによるガンマ線計測に関与する詳細な物理過程を考慮した画像再構成法の開発を重点的に行い、さらに、本研究で開発される手法の適用例として、血糖降下作用をもつ亜鉛錯体の生体内の挙動に関するイメージング分析を行った。昨年度までに、対向デュアルヘッド型GREIを用いた20分間の撮像でRIファントムの3次元断層画像を取得することに成功していたが、背景のアーチファクトが目立つ傾向が見られていた。この原因は、画像生成に使用した逆投影関数を過度に単純化したことであると考え、GREIによる1つ1つのガンマ線の検出事象毎に変化するコンプトン散乱角の決定精度を考慮した、より正確な逆投影関数を用いた画像再構成法の開発を行った。簡便な画像再構成法として常用している単純逆投影(SBP)逆重畳積分法に関して、開発した逆投影関数を用いてSBP画像を作成した結果、SBP画像の背景ノイズを顕著に低減することに成功した。また、糖尿病モデルマウスに投与した種々のZn-65標識亜鉛錯体のGREI撮像データを用いて、それぞれの亜鉛錯体の生体内挙動のイメージング分析を行った。その結果、血糖降下作用をもつ亜鉛錯体と、それ以外の亜鉛錯体および塩化亜鉛溶液の生体内分布の違いから、亜鉛錯体の血糖降下作用と体内動態との相関を示唆する画像データを得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物理過程をより正確に考慮した逆投影関数を用いて単純逆投影画像の画質を向上することに成功しており、さらに、GREI撮像データから、薬理作用と体内動態の相関を示唆するイメージング分析結果を得ることにも成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の計画通りに実施し、さらに、新規の3次元定量画像再構成法の開発も重点的に行う。
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Causes of Carryover |
物品購入等の際の見積額が、業者とのやり取りの中で当初額に対して上下し、その差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規の画像再構成法開発などでデータ量が増加することが見込まれるため、そのデータの記録媒体の購入などに使用する。
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