2014 Fiscal Year Research-status Report
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26505016
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
浅川 大樹 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (60584365)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金属-ペプチド複合体 / 電子移動解離 / 金属結合サイト |
Outline of Annual Research Achievements |
金属結合タンパク質の構造解析手法開発の基礎研究として、金属-ペプチド複合体のフラグメンテーションについて研究を行った。まず、金属-ペプチド複合体の構造解析には従来質量分析で用いられる衝突誘起解離法(Collision Induced Dissociation, CID)よりも電子移動解離(Electron Transfer Dissociation, ETD)が有効であることを明らかにした。加えて、ペプチドのETDタンデム質量分析による構造解析においては、通常エレクトロスプレーイオン化質量分析で生成する多価プロトン化分子よりも価数の大きい金属-ペプチド複合体をプリカーサーイオンとして用いることで、より良好な結果を得ることができるようになった。さらにETDにおけるフラグメントイオンの生成プロセスから、金属-ペプチド複合体における金属の結合位置の推測が可能であることを明らかにした。これらの成果は査読付き学術雑誌に2件の原著論文として発表している。(Asakawa, D., Takeuchi, T., Yamashita, A., Wada, Y., J. Am. Soc. Mass Spectrom. 25, 1029-1039, 2014およびAsakawa, D., Wada, Y., J. Phys. Chem. B 118, 12318-12325, 2014) さらに、金属-ペプチド複合体のETDタンデム質量分析において、フラグメンテーションの本質解明に繋がる重要な実験結果を得たため、計算化学などを用いてより詳細に解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究において、これまでに査読付学術雑誌に2件の原著論文を発表しており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
金属-ペプチド複合体の電子移動解離において、フラグメンテーションの本質解明に繋がる重要な実験結果を得ているため、計算化学などを用いてより詳細に解析を行う。これらの基礎的な知見の構築により、金属結合タンパク質の電子移動解離質量分析法による構造解析技術の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
ETD質量分析計ではフィラメントを加熱し、反応イオンを生成させる。この際、フィラメントには熱負荷がかかり、しばしば断線するため、定期的に交換が必要であったが、フィラメント加熱を高純度の窒素雰囲気下で行うことでフィラメントの断線の頻度が著しく減少した。 また、プロテオミクスの実験に用いる消化酵素の添加量を最適化したことで、消耗品の使用量が減少した。 これらの理由により、予算計上額と使用額に差異が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度の研究において、ETD質量分析の本質解明に繋がる重要な実験的知見を得た。さらに詳細に検討を行うために、アミノ酸配列を指定したペプチドを購入し、実験を行う。ペプチドは特注で合成を依頼するため、高価であるため、次年度使用額を用いる。
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Research Products
(2 results)