2015 Fiscal Year Research-status Report
数理解析による回旋転頭運動の重力応答依存性の証明と新規回旋転頭運動機能分子の同定
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26506002
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
宮沢 豊 山形大学, 理学部, 教授 (00342858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 回旋転頭運動 / 突然変異体 / 宇宙実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度までに構築したシロイヌナズナ胚軸のハイスループット観察系を用いて詳細な実験を開始した。その結果、本実験系上では個体ごとのバラツキが非常に大きいことが判明した。これの原因として、1)発芽時期のバラツキと2)昨年度末より懸念されたフラッシュ光の影響が大きいことが判明した。そこで、1)については、播種、低温処理、培養の時間の厳密化を図るために成長特性の解析をまず実施した。そして、撮影に最適な条件を確定することに成功した。次に2)について検討を行い、低照度の緑色光と高感度のカメラを用いることがデータを取得する上で適しているとの結論を得た。この結果をもとに、シロイヌナズナ胚軸の回旋転頭運動の定量化を実施している。 植物における回旋転頭運動と重力応答の関係を普遍化するために、根の重力屈性を特異的に欠損したエンドウの根を用いた実験を行った。その結果、野生型エンドウで認められる回旋運動が重力屈性突然変異体で異常になっていることが判明した。さらに、野生型の根冠の切除と野生型植物へのオーキシン輸送阻害剤の処理が回旋転頭運動を大きく低減させることを見いだした。すなわち、アサガオの茎のつる巻き運動で示唆された重力応答依存的なオーキシン輸送の回旋転頭運動に対する必要性は根にも適用できることが判明した。また、上記エンドウに関する研究成果をPhysiologia Plantarum誌に発表した。 昨年度に引き続き、宇宙実験「植物における回旋転頭運動の重力応答依存性の検証(Plant Rotation)に参画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養条件と撮影方法を改良していくことで、取得できる画像の質が格段に上昇しており、既知の重力屈性突然変異体の回旋転頭運動について定量的な評価ができる土台が構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに、非常に鮮明な画質で回旋転頭運動を取得することができるようになった。これにより、暗所で撮影した画像でも胚軸先端の正確な抽出が可能になったと考えられる。そこで、まず、典型的な野生型の回旋転頭運動を多数取得して、解析ソフトウェアの開発に着手する。それと並行して、重力応答のさまざまな段階に欠損を有する重力屈性突然変異体がライブラリー化されているシロイヌナズナの利点を活かして、重力応答信号伝達系と回旋転頭運動の関係の解析を行う。多検体の回旋転頭運動を定量的に評価できるソフトウェアが完成した後は、蓄積されたデータを一括で解析することにより、回旋転頭運動の定量的評価法を確立させ、最終的に、本研究の目的である回旋転頭運動の重力応答依存性の証明と回旋転頭運動機能分子の同定を完了させる。
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