2016 Fiscal Year Annual Research Report
E. coli cells growing under starvation
Project/Area Number |
26506003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
イン ベイウェン 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90422401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 適応 / 栄養枯渇 / 大腸菌 / 増殖 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は実験進化で得られた大腸菌に対して、生化学的な解析を行い、枯渇栄養環境下での生存機構を検討した。具体的には、極少資源下での生きる進化型の複数菌株に対して、細胞内ATP濃度の測定、遺伝子発現の定量化、タンパク質合成の評価、特定の代謝産物の計測など多方面での生化学的解析を行い、極少資源下で生きる細胞内状態を同定した。祖先型と比較することにより、極限環境下に生息する微生物の特徴を抽出し、関連する分子機構の解明に繋ぐ。 1. 貧栄養環境下での死滅曲線をCFU基準で作製し、進化前後の死滅速度に違いがあるのかを調べた。その結果、意外にも死滅速度に違いが見られなかった。 2. LC-MSMSを用いて、進化前後の菌株の細胞内アミノ酸の濃度に違いがあるのかを評価した。その結果、高い菌体密度の時に、一細胞あたりのアミノ酸量が進化型菌株のほうが高いことが観察された。つまり、栄養枯渇状態では、進化型菌株が細胞内アミノ酸をより効率よく保持することができた。 3. フローサイトメトリーを用いて、細胞内タンパク質量を見積った。すべての菌株はゲノム上に恒常的に発現するリポーターたんぱく質GFPをコードする発現カセットを導入しており、緑色蛍光強度により、細胞なタンパク質濃度を見積ることができる。同じサイズの細胞同士を比較したところ、進化後の菌株により高いタンパク質濃度が検出された。さらに、粒度分布系を用いて高精度に細胞の大きさを測定したところ、進化後の菌株が細胞サイズを縮小しているのを発見した。以上を踏まえて、進化後の菌株が細胞タンパク質合成に変化をさせたことが示唆された。 以上の結果から、昨年度で得られたゲノム変異解析結果と足し合わせると、非常に説明しやすい仮説を立てることができた。今後、RNAseqによる発現解析の結果を追加し、投稿論文を準備していく。
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Research Products
(8 results)