2017 Fiscal Year Research-status Report
重力に応答する植物ホルモン動態からみた植物重力応答反応の分子機構
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26506018
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上田 純一 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (40109872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 英二 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20160161) [Withdrawn]
岡 真理子 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20324999)
長谷川 宏司 筑波大学, 生命環境系, 名誉教授 (70094167)
繁森 英幸 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70202108)
宮本 健助 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (10209942)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 植物 / 重力応答 / オーキシン / 極性移動 / 遺伝子発現 / 免疫組織化学・抗体 / 植物ホルモン動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際宇宙ステーションで得られる微小重力環境下における黄化Alaskaエンドウ芽生えおよび黄化Golden Cross Bantamトウモロコシ芽生えの成長・発達解析と地上帰還サンプルのエンドウ上胚軸の、また、トウモロコシの中胚軸組織を含む幼葉鞘のオーキシン極性移動、オーキシン極性移動関連遺伝子発現およびポリクローナル抗体を用いた免疫組織化学的手法によるその細胞内局在を解析した。その結果、宇宙微小重力環境下で生育した黄化エンドウおよび黄化トウモロコシ芽生えにおけるオーキシン極性移動は地上および宇宙1g環境下で生育した芽生えのそれに比べ、有意な低下が認められた。しかしながら、オーキシン極性移動関連遺伝子の発現は宇宙微小重力環境と地上および宇宙1gでほぼ同様であった。それら遺伝子産物の細胞内局在については、宇宙微小重力環境と地上および宇宙1gで大きく変化した。この様な変化がオーキシン極性移動低下およびそれに伴う芽生えの成長、発達の変化の原因であることが推察された。内生植物ホルモン動態の解析については、研究期間延長が承認されたため、次年度以降に実施することとなった。 一方、地上で生育した当該植物芽生えならびにキク科薬用植物からオーキシン極性移動制御物質を探索した結果、後者からCostunolide, Santamarine, Atractylenolide IIおよび(+)-Eudesma-4(14),7(11)-dien-8-oneをオーキシン極性移動を阻害する活性物質として同定した。これらの化合物は化学構造既知の物質であるが、今般の研究によってオーキシン極性移動阻害という新たな生理活性の存在が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従ってほぼ順調に研究が進んでいる。なお、植物ホルモン解析に重要な本学のGC-MSに重大な不具合が認められたため、植物ホルモン動態の解析はJAXAのそれを用いて実施するとともに外部研究機関への研究委託とした。それに伴い研究期間延長の申請を行い、受理されたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙実験地上帰還サンプルについて、その成長解析、オーキシン極性移動測定、遺伝子発現解析、抗体を用いた免疫組織化学的解析はほぼ終了している。先に述べたとおり、内生植物ホルモン動態解析についてはその都度JAXAに出向いて実施するとともに外部研究機関への研究委託としたい。
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Causes of Carryover |
植物ホルモン動態の解析に必要不可欠なガスクロマトグラフ質量分析計に重篤な不具合が生じたため、急遽、共同研究先であるJAXAの同装置を使用することおよび外部研究機関への委託としたため、次年度使用額の多くは当該解析のための物品購入と旅費に充てる予定である。
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