2015 Fiscal Year Research-status Report
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26506025
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
志波 直人 久留米大学, 医学部, 教授 (20187389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 吉朗 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (20439574)
田川 善彦 久留米大学, 医学部, 教授 (70122835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有酸素運動 / 抵抗運動 / 電気刺激 / エルゴメータ / 成長ホルモン / インターロイキンー6 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度実施した健常男性10名の実験データを解析した。得られた有意な変化として、電気的遠心性筋収縮と自転車こぎ運動を同時に実施できる運動後、直後から15分後にかけて血中成長ホルモンが有意に増加、運動直後に乳酸が有意に増加、そしてIL-6が運動後30分後に有意に増加した。この乳酸とIL-6の変化は電気刺激を組み合わせない場合には見られなかった。運動負荷強度は最大酸素摂取量の40%と決して高くはないものの、比較的強強度で蓄積する乳酸が増加し、マイオカインの一つであるIL-6が分泌されたことから、電気刺激を組み合わせる方法には、筋力増強、筋肥大効果が期待される。 次に、前年度に作成した電気的遠心性筋収縮と自転車こぎ運動を同時に実施できる運動法の長期間介入実験を実施した。健常成人29人を無作為に電気刺激を組み合わせる群(HTS群:14人)と電気刺激を組み合わせない群の2群(CON群:15人)に分けた。運動は、自転車による強強度と低強度を繰り返し行うインターバルトレーニング、グリーンリーフプログラムを用いて、30分間、週3回、6週間行った。トレーニング後、HTS群とCON群ともに呼気ガス分析による最大酸素摂取量が有意に増加した。一方で、HTS群はCON群よりも角速度60度での伸展筋力が有意に増加した。しかし、エコーを用いた大腿直筋の筋厚の評価では、両群ともに有意な変化はなかった。この結果から、電気的遠心性筋収縮を有酸素運動と同時に組み合わせることにより筋力増強効果も同時に得られる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
考案した運動効果検証として実施した長期介入実験を、血液検査による生体反応が良好に得られたこと、運動プログラムが完成したこと、さらに被験者を長期間拘束するため、次年度計画を繰り上げて開始した。しかし、想定した人数を確保するために、当初予定していた運動期間を実施できなかった。また、筋量の評価であるMRIは実施できず、代わりにエコーを用いて評価した。筋量の評価が大腿骨格筋の一部だけになったことから、特にハムストリングの評価が不十分であった。しかし、新しい運動法による筋力増強と心肺能力の改善が得られたことから、想定した運動効果が得られることが示せたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
遠心性電気刺激と自転車こぎ運動とを組み合わせた運動法と低強度と強強度とを交互に繰り返すインターバルトレーニング(グリーンリーフプログラム)を宇宙空間での運動法として提案する。模擬微小重力実験としてパラボリックフライト実験を実施し、新しい運動が生体に与える影響と機体に与える影響を解析する。
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Causes of Carryover |
長期運動介入研究による実施時期がH27年度末からH28年度初めであったため、研究データは得られたが、謝金の支出をH27年度内に実施できなかった。また、計画されたMRIによる筋量評価を実施せず、エコーによる筋量評価に変更したため、MRI撮影料が不要となった。さらに、血液検査項目を先行した数名のデータから有意に変化しない可能性がある項目を削除することで、血液検査委託料が少なく済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に支出できなかった謝金に充てる。さらに、想定より大型機を使用することで委託料が増加したパラボリックフライトに充当する。
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