2014 Fiscal Year Research-status Report
女性宇宙飛行士の乳がんリスクにおける年齢および妊娠出産の関与
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26506027
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
西村 まゆみ 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, 研究員 (70218204)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 女性宇宙飛行士 / 乳がんリスク / 妊娠・出産 / 中性子線被ばく |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、女性の宇宙飛行士の防護に着目し、影響の最も大きい1-2MeVの中性子線(ICRP103, 2007)について、0.05Gyから0.5Gyの被ばくによる乳がんリスクの線量効果関係を明らかにし、また、被ばく時の年齢および妊娠・出産によりリスクがどのように増減するのかも明らかにする。さらに網羅的ゲノム変異の解析から、中性子線が、発がんのinitiationに寄与するのかpromotionに寄与するのかを分子生物学的にアプローチする。現在、中性子線に関するデータの更新はほとんど行われていない。特に、年齢依存性に着目した報告は全くなく、ミッション時の年齢依存的な制限線量値の設定をサポートする実験は重要である。動物実験を開始するにあたり、放射線医学総合研究所に本実験の動物実験計画書および総合実験計画書を提出・審査を受け承認を得た。また中性子線照射のためのマシンタイムを申請・受理された。動物実験には、ヒト乳がんと同様の病理型を示すことがわかっているラットを用いた。乳がん高発系ラットであるSDラット♀(日本クレア)を5週齢で購入し、馴化、ハンドリングを行い、15週齢あるいは35週齢になった時点で中性子線(2MeV)を0.05Gy、 0.2Gy、0.5Gyあるいはガンマ線(Cs-137)を2Gyあるいは4Gy照射および非照射群を設定し、SPF環境で飼育観察を行った。妊娠・出産・育児経験群(経産群)は8-10週令および20-22週令時にSD♂ラットと交配を行い、2回とも育児まで行った個体について実験群とし、35週令時に同様の照射を行った。どちらの実験群も照射以前の7週齢時より、腫瘍の発生時期を確定する目的で週1度の乳腺触診を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生後90週令まで飼育・観察し、病理学的解析を行い、発がんリスクを求めるためには、動物実験の設定が27年度前半までに終了している必要がある。26年度は、15週令照射群は設定が終了し、経産群は80%、35週令照射群約70%の設定を終了した。残りの照射群も7月中旬には設定が終了予定であり、順調に進んでいる。照射した個体は隔週で体重測定、週1度の乳腺触診を行い経過・観察中である。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度前半までに動物実験はすべてセットアップが終了し、継続して乳腺の触診及び観察を行っていく。すでに腫瘍の発生により健康状態が悪化した個体について、解剖および腫瘍の採取(病理診断用および分子解析用)を始めている。今年度は多くの個体の解剖が予測されるため、順次、病理学的解析を行なっていく。
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Causes of Carryover |
動物購入時、予備用に注文数より多く入っているため、若干予定数より少なく購入出来たため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
飼料費が計画より増える事が予想されるのでそちらで使用する。
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