2014 Fiscal Year Research-status Report
睡眠時無呼吸における全身性・気道炎症と併存病態の関連
Project/Area Number |
26507007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小賀 徹 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90378670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 和夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90197640)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 睡眠時無呼吸 / エイコサノイド / 高血圧 / 併存症 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉塞型睡眠時無呼吸は、高血圧や脂質代謝異常、糖代謝異常などを合併し、全身性炎症の亢進により、心や脳血管障害の危険因子として注目されている。また近年、気道炎症の重要性も示唆されている。このような全身性炎症と気道炎症と併存病態との関連は明らかでない。プロスタグランジンやロイコトリエンが、重要な役割を果たしていることが示唆され、本研究では、エイコサノイド一斉解析法により、患者検体中のアラキドン酸代謝物を測定し、睡眠呼吸障害と特に循環器系を中心とした併存病態との関係を包括的に解明し、新規バイオマーカー開発や将来の抗炎症療法へつなげることを目的とする。 本研究は、主に、京都大学医の倫理委員会において承認を得た「睡眠時無呼吸症候群におけるプロスタノイドの役割の検討」に基づいて実施され、46人の患者を登録し、そのうちCPAP治療を導入した患者の追跡調査実施し、新規登録を終了した。本研究のサンプルに関してはすべて採取が終了した。 2015年度は、これらの検体を測定したり、採取データを解析することが中心となる。前述のように、本研究は多くの検討課題を含んでいるが、まず最初に血圧に関する検討を始める予定である。本研究の特徴の一つに、PSG検査を実施しながら、連続指血圧と血行動態測定装置PORTAPRESS MODEL-2を使用して、夜間血圧、心拍数、心拍出量、左室駆出時間、圧受容体感受性などを連続的に測定している。高血圧は、2014年度に改訂版の治療ガイドラインも発表されその注目度もあがっているが、睡眠時無呼吸は、その中でも、治療抵抗性の2次性高血圧の最大の要因と明示されているが、その機序や、睡眠時無呼吸の治療による血圧への影響など、まだ未知の部分が多いし、その要因としてエイコサノイドの役割を仮説として考えており、バイオマーカーとしての機能はあるか、などさらに発展的な解析をすすめていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定よりは若干少なめであったが、46人の睡眠時無呼吸症候群患者を症例登録し、フォローアップを完了した。有害事象の発症を認めず無事に完遂できた。本研究の独自性は、大きな2点として、(1)PORTAPRESS MODEL-2を用いた夜間の連続血圧・血行動態測定と、(2)尿と血液の検体を用いたエイコサノイド一斉解析、にあるが、概ね大きな問題なく測定、検体採取ができた。(1)(2)の解析や測定は非常に複雑であるうえ上、データ整理に多大な時間を要することが予想されるが、症例登録が完了したことにより、本年度しっかりと分析することが可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のように、症例登録は終了し、検体・データ採集も完了した。今年度は、膨大なデータを解析、整理して、論文作成につなげたい。なお、予備検討の結果では、睡眠時無呼吸患者の第一選択治療であるCPAP(持続気道陽圧)療法使用3か月後の検討において、使用前と比較して、夜間の血圧上昇を抑制しうるような効果がみられているようである。昨年度は高血圧治療ガイドラインも改訂発表され、睡眠時無呼吸も治療抵抗性の二次性高血圧の最大の原因と明示され、ますますその位置づけが高まっており、ぜひ本結果をまとめて公表するに至りたい。
|